Nianticが目指す「リアルワールド メタバース」--AR開発者向けPF「Lightship」&キット公開

佐藤和也 (編集部)2021年11月09日 18時38分
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 Nianticは11月9日、 AR開発者向けのプラットフォーム「Lightship」をグローバルに展開すると発表し、一般公開を開始。パートナーとして、LIFULL(ライフル)、集英社、ソフトバンクなどが参画する。あわせて、AR開発を促進する「Niantic Ventures」の設立も発表した。

 Lightshipは、Nianticが「ポケモンGO」や「Ingress」、「ピクミンブルーム」などのタイトルを開発・運営してきた長年の経験をもとに構築されたゲームの基盤となるプラットフォーム。開発者キットである「Niantic Lightship ARDK」を活用することで、開発者が持つARの世界観、そして“リアルワールド メタバース”のビジョンを実現できるようになるとうたう。

 ARDKには、Mapping(リアルタイムでの現実世界の再現)、Understanding(環境の理解)、Sharing(体験の共有)という3つの核となるAR機能を処理するツールや技術をまとめたものという。

「Niantic Lightship ARDK」
「Niantic Lightship ARDK」

 Mappingについて、ARDKのメッシングAPIは、スマートフォンのカメラセンサーを利用して深度を読み取るNianticの技術を活用して、リアルタイムに3Dメッシュマップを作成。ユーザーの周囲の地形や地表を把握する。メッシュはアプリのセッション全体を通して動作し、ユーザーの動きに合わせて拡張・改善されていく。

 オクルージョンAPIを活用すると、仮想のオブジェクトが現実のオブジェクトに対して正しい深度(奥行きなど)の順で表示されるため、例えばバーチャルのボールを蹴って生け垣を越えさせると、生け垣は見え続けるが、ボールは見えなくなる。

 標準的なRGBセンサーから最新のLiDAR搭載デバイスまで、AndroidまたはiOSデバイスのカメラに自動的に適応。ARアプリを使用するユーザーの位置情報や状況を読み取って、ダイナミックな3Dメッシュマップを構築することで、開発者がより視覚的にリアルなARレイヤーを作成できるという。

Mappingについて
Mappingについて

 Understandingについて、セマンティック セグメンテーションAPIは、デジタルオブジェクトを、現実世界のあらゆる物体の表面と正しくインタラクトさせ、現実的に自然な場所に現れたり、消えたりするように処理を行う。コンピュータービジョンに基づく機能を駆使し、地面、空、水、建物など環境中のさまざまな要素を即座に識別できるという。これらの要素により、バーチャルコンテンツが現実の空間で見せる反応が変化する。

Understandingについて
Understandingについて

 Sharingについて、ARDKのマルチプレイヤーAPIでは、最大5人のプレイヤーを同時にサポートするARセッションを開発者が簡単に作成することが可能。これによりバーチャルコンテンツ、プレーヤー、それらのインタラクションをすべてリアルタイムに同期させることができ、リアルでシームレスな、よりインタラクティブで強調的なアプリ制作が可能となる。

 高速な共有体験を実現するため、ARDKはP2Pネットワーキングスタックと管理サーバーよってバックアップされている。そのため、開発者がマルチプレイヤー体験をサポートするためのコードを書く必要はないという。さらにARDKでは、プレイヤーロビーシステム、同期クロック、セッション永続性ストレージなどを含む、負荷の軽いマルチプレイヤーゲーミング機能を提供する。

Sharingについて
Sharingについて

 なお、セマンティック セグメンテーションやメッシングなど、Lightship ARDKの中核となるAPIは、現在のところアプリの利用人数に関係なく無料で利用可能。マルチプレイヤーAPIは、月間アクティブユーザー数が5万人未満のアプリでは無料、5万人以上のアプリでは有料となるが、最初の6カ月間は、アプリの規模に関わらず無料で利用可能としている。この規約は、2022年5月1日以前にLightship ARDKに登録したすべての開発者に適用されるという。

 この日発表されたイベント動画では、パートナーがこのARDKを活用したARコンテンツを紹介。集英社からは「ONE PIECE」をテーマにしたデモを披露した。前述のように、日本ではほかにもLIFULやソフトバンクが、さらにUniversal PicturesやWarner Music Groupなども参画する。

 また、Lightshipにおけるロードマップの次のステップになる「ビジュアル・ポジショニング・システム」(VPS)についても発表。VPSによって、ユーザーがある場所に仮想オブジェクトを設置すると、そのオブジェクトはそこに存在し続け、同じアプリケーションを使用する他のユーザーが、そのオブジェクトを発見できるようになるというもの。

 VPSについては、Nianticの設立当初から、世界の3Dマップを作りたいという意向があり、このマップを作ることは、拡張現実の大きなチャレンジのひとつであり、情報と双方向性の体験で現実世界に魅力を与える鍵としている。2022年は、一部の都市での本格的なローンチに先駆け、VPSへのアクセスを一部の開発者の方々に開放する予定としている。

「ビジュアル・ポジショニング・システム」
「ビジュアル・ポジショニング・システム」

 Niantic Venturesについては、2000万ドル規模のファンドとして設立し、他のベンチャー投資家やエンジェル投資家とともに、初期段階にあるAR企業に共同投資を行うという。

Niantic Ventures
Niantic Ventures

 日本のメディア向けの説明会も行われ、Nianticの最高プロダクト責任者を務める河合敬一氏は、Lightshipのグローバル展開ならびに一般公開の狙いとして「今ここにある場所を、いかに豊かにするかという方向で技術の力を使いたい。それを我々はリアルワールド メタバースと呼んでいる」と語る。

 昨今よく使われている「メタバース」について、河合氏は「今言われているメタバースは、今いるこの場所ではなく、新しい世界を作って、その世界で活躍するといった、今いる世界に代わってその世界に行こうというトーンで語られている」と指摘する。

 続けて、大きなプラットフォームのシフトは10年単位で行われており、次のプラットフォームの変化が今始まりつつあるとし、「その大きな技術の流れが、今ここにある世界をより豊かにする方向か、ここではない新しい世界をどこかを作る方向かは、私たちの選択次第。われわれとしては、開発者のみなさんと一緒に、ARのプラットフォームを通じて今の世界を豊かなものにする世の中にしていきたい。街のお出かけ、公園の散歩、日々の通勤などが明るく楽しくなったり、新しい何かに気づけたり、きっかけとなるものを作りたい」と語った。

 あわせて、日本市場についても言及し「Nianticにとって日本はとても大切な場所として取り組んできた。これからも日本市場に強くコミットして、日本のみなさまとARの未来を切り開いていきたい」とコメントした。

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