図面、現場施工管理アプリ「SPIDERPLUS」を展開するスパイダープラスは11月4日、上場から半年を受け、記者会見を開いた。海外アライアンス部の立ち上げや経済団体連合会(経団連)入会などの取り組みについて振り返ったほか、大崎電気工業との協業による、メンテナンス業界への本格参入などについて話した。
スパイダープラスは3月30日に東証マザーズに上場。スパイダープラス 代表取締役社長CEOの伊藤謙自氏は「初値割れなしに順調に推移した。2021年上半期国内スタートアップIPO初値時価総額ランキングでも548億円と4位につけており、市場の期待がひしひしと感じる」と感想を述べた。
SPIDERPLUSは、建設業界における図面や現場管理がアプリでできるツール。人員不足に加え、長時間労働という、建設業界が抱える課題をアプリを用いることで生産性を上げ、課題解決へと結びつける考えだ。
建設現場における図面や写真、検査記録をクラウドで一元管理できることが特徴で、導入企業からは、1日の業務時間が平均で2.5時間減ったという効果も出ているとのこと。現在導入者数は1000社超、ユーザー数は4万2000超、継続率は99%超。伊藤氏は「カスタマーサクセス、営業を含め手厚くサポートしている点が認められたと思っている」と分析する。
上場から半年間の取り組みについても発表した。5月にきんでんと協力し、OCR連携機能実験を開始。これは、SPIDERPLUSの入ったタブレットで電力量計を撮影し、画像データをクラウドに送信すれば、画像内の文字をOCR連携によって認識、その結果と設計時の情報とが自動照合されるというもの。2022年の実用を目指し開発を続けているという。
社内においては、外国語対応を強化するべく海外アライアンス部を5月に立ち上げた。「だいぶ稚拙なところもあったが、アライアンス部の立ち上げで英語版の内容がよくなったとお客様からの評価も高い」と自信を見せた。
7月には教育機関向けの「アカデミックプラン」と専門工事事業者向けの「SPIDERPLUS PARTNER」を相次いでリリース。「アカデミックプランは、教育機関に無料でプロダクトを提供することで、学生のうちからプロダクトに触ってもらい、卒業後、現場に入ってすぐに使えることを目指した。すでに1校使用していただいており、来期以降は複数校と話をしている」とのことだ。
一方、SPIDERPLUS PARTNERは専門工事事業者向けにすることで裾野を広げる。「SPIDERPLUSは現場監督向け、SPIDERPLUS PARTNERは専門工事事業者の職長向け。SPIDERPLUSのライト版という位置づけで、ITリテラシーに依存せず、だれもかんたんに使えることを目指した。現在十数社にベータ版を使ってもらっており、一部は有償になっている。2022年にはすべて有償化のプロダクトになっていくと考えている」とした。
同日に発表した、大崎電気工業との共同開発については、「スマートメーターの国内トップメーカーである大崎電気工業の技術とSPIDERPLUSを組み合わせて、メンテナンス業界の本格参入を目指す。SPIDERPLUSは直近2年においてはプラント業やビルメンテナンス業など、サービス導入の水平展開が広がっている。今回の共同開発をメンテナンス業本格参入へのフックしたい」と意気込む。
上場したことによる変化について問われると「お客様と株主の期待を裏切らないという意識が以前より圧倒的に高くなっている。単純なことだが、上場企業になったという社員のモチベーションアップは大きい。また、お客様からもお話を聞いたいただけるきっかけは増えたように思う」とコメントした。
従業員数は2020年12月末時点の92人から、2021年6月末時点で154人まで増えており、技術系社員を中心に人材投入を実施しているとのこと。2023年には、池袋にある現在のオフィスから、虎ノ門へとオフィスも移転する計画だ。
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