クラウド録画サービスを展開するセーフィーは9月29日、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。3350円の初値がついた。
セーフィーは2014年に設立し、現在7年目。ビジネスパートナー兼既存株主としてソニーやキヤノン、セコム、三井不動産といった大手企業が名を連ねていることが特徴だ。セーフィー 代表取締役社長CEOの佐渡島隆平氏は「スタートアップながら大手企業と一緒にクラウドカメラのビジネスモデルを作ってきた。資本業務提携をしながら大きくなってきた会社」と振り返る。
現在、クラウドモニタリング・録画サービスシェアでは約5割のシェアを獲得。佐渡島氏は「カメラのOS部分を各社に提供することで、さまざまなデバイスでサービスが使える環境を整えた。重要なデータを預かるので、強固なセキュリティは担保しつつ、簡単にワイヤレスで使えることがポイント。高品質で低価格、さらに拡張性の高さがお客様から評価していただいている」と強みを説明する。
現在、医療や建設、サービス、物流、製造といった「現場」での活用が進んでいるとのこと。「新型コロナの感染拡大により、もっとも困っている現場の1つは病院。できるだけ非接触での治療が望まれている。セーフィーでは、カメラを各病室に設置し、本部で複数の病室を常時確認。遠隔で十分な診療、治療を実施している。このほか建設現場では、現場に行く人の労働生産性があがらないという課題を、遠隔からモニターを見ながら現場の人に指示することで、現場の生産性を向上した」と佐渡島氏は数々の現場における使用例を紹介。このほかにも飲食店や保育、物流などで使われているという。
次に狙うのは公共の現場だ。「地球温暖化の影響により台風の被害が大きくなる中、河川の増水をカメラが見守れば、状況を把握できる。すでに千葉市では災害時に避難場所の現状確認や土砂崩れが起きた場所の確認として現場向けウェアラブルカメラ『Safie Pocket2』を利用した実証実験を開始している」とさらなる現場での使用拡大を描く。
クラウド録画サービスをプラットフォームとして提供する一方で、現場で役立つアプリケーションの開発も進める。自動顔認証機能により来店者の属性や行動データの分析ができる「Safie Visitors」は小売店、建物や部屋の出入り口向けアプリケーション「Safie Entrance」はオフィスの入退室管理などで活用されているとのこと。加えて、「1年前に登場し、これによって業績が変わった」(佐渡島氏)というほど、人気を得ているのがSafie Pocket2だ。
LTE通信ができるSIMカードを内蔵し、最大8時間使えるバッテリーを備えたSafie Pocket2は、現場に設置できるほか、現場で働く人の体に装着し、持ち運ぶことも可能。会話もできるほか、スムーズな現場状況の共有が可能になる。「人間がその場に行ってやっていた仕事が遠隔でもできるようになる。オフィスワーカーはクラウドやオンライン会議ツールなど働き方をサポートするツールが登場してきているが、なかなか現場の働き方を変えるツールはなかった。これが登場し、今非常に広がっている」(佐渡島氏)と好調に推移しているという。
今回調達した資金を元に、知名度の向上とエンジニアを中心とした人材獲得に投資していくとのこと。佐渡島氏は「長期的な視野に立った経営をしていこうと思っている。セーフィーは現場をDXしている会社ということを覚えてほしい」とした。
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