フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは10月28日、物流サービスを企画、開発、運営する100%子会社のメルロジの設立と、同社での新規事業開始を決議したと発表した。
メルカリのタッチポイントを基盤に、効率的に“集荷”できる物流網の構築と、付加価値があるサービスの提供を目指す。
2013年7月からサービスを開始したメルカリは、9月単月の利用者数が2000万人を突破。2020年末時点での累計出品件数は約20億品となり、流通総額は約8000億円に迫る勢いだ。
一方で、コンビニエンスストアや郵便局における発送、出荷関連のオペレーション負荷が拡大。メルロジ 代表取締役 CEOを務める野辺一也氏は、「日本全国で(1年間に)取り扱う宅配便や宅急便約数50億個のうち、5~10%がメルカリの取引から発生している。コンビニ発送においては、メルカリの出品物が約8割を占めている。メルカリ自体も(対前年比の流通取引総額が)25%の成長を見込んでおり、店頭での発送環境を変える必要がある」と、集荷を改善する必要性を訴える。
メルカリは、スマートフォン決済サービス「メルペイ」の全国約234万の加盟店のうち約1000カ所へ対面接客不要で商品が発送できる「メルカリポスト」を設置したり、郵便ポストに直接投函できる「ゆうパケットポスト」を開発したりするなど、パートナーと連携してオフラインのタッチポイントを拡充。発送や集荷の効率化に取り組んできた。
新たに設立したメルロジでは、メルカリが保有する発送取扱いのほか、メルカリポスト、全国11カ所のリアル店舗「メルカリステーション」など、自社タッチポイントを基盤としたデータとテクノロジーを活用。集荷における物流網を効率的に構築しつつ、自社タッチポイント自体も2024年までに全国約8000カ所へ設置する。
一方、トラックや倉庫といった自社アセットは保有しない。集荷プロセス全体はあくまで物流パートナーと共同での展開するというスタンスを取る。
2022年春には、売れた商品を持ち込むだけで発送が完了する“梱包レス発送”や、発送前の商品のクリーニング、リペアといった付加価値があるサービスを提供する。提供時期やエリア、価格の参考にすべく自社タッチポイントでの実証実験を実施中で、11月から特定地域でも開始するという。
同時に、グループ会社のソウゾウが展開するEコマースプラットフォーム「メルカリShops」の出店者への出品、梱包、発送代行や、グループ外のネットショップ出店者への集荷物流網の開放など、グループ内外へのサービス提供も検討する。また、繰り返しのリユースを前提とした梱包発送資材の導入の検討も進め、配送過程で発生する環境負荷にも取り組む予定だ。
「発送の最初の部分を変えることで、物流事業の役に立てる部分があると考えている。さまざまなパートナーと一緒に、共存型で循環型の新しい環境を目指す」(野辺氏)
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