PFUは10月27日、工場などにおける機器のネットワークを見える化できる装置「iNetSec FC」を発表した。
この商品が生まれた背景は、石川県にあるPFUの工場で実際に起きたトラブルにある。従業員200人の中規模工場で、PCや制御機器など1000台以上の機器が稼働していた。作業マニュアルなどもネットワークを介して利用しており、市販品のスイッチングハブが故障したことでラインすべてが半日停止し、数千万円級の損失が発生したという。
工場ではIT担当がおらず、頻繁なレイアウト変更に伴う機器の移動について、生産現場が手作業で管理しているところも多い。さらに、ネットワークの専門知識もないため、トラブルが発生すると復旧に時間がかかるといった課題がある。
近年、モノづくりの現場ではデジタル化が進み、工作機械やロボットなどの生産設備はネットワークに接続され、さらに効率化のためのカメラやセンサーなど、接続機器が増え続けている。
ほかにも、こうした増える機器に伴うトラブルに悩みを持つ生産現場があるのではないかとし、接続するだけで解決に導けるようにしたのがiNetSec FCだ。
価格は、48万円(1年間利用ライセンスバンドル)で、2年目以降の1年間利用ライセンスは36万円。出荷時期は、2022年2月末を予定する。
iNetSec FCは、iNetSecシリーズで長年培ったネットワークの見える化技術「エッジ・アナライズテクノロジー」を生かし、生産現場の声に応える新しいコンセプト商品だ。ネットワークの見える化装置と管理ソフトで構成され、装置1台で複数セグメント(最大3個の物理セグメントあるいは、最大32セグメントのタグVLAN)を管理可能。
iNetSec FCは、ネットワークの専門知識を持たない生産現場でも、接続するだけで機器とネットワーク構成を見える化し、レイアウトが変更されても常に最新状態を把握できるのが特徴。
ネットワークに接続された工作機械や制御機器など、あらゆる機器を自動で検出でき、IPアドレスやMACアドレスに加え、PCやタブレットなどのIT機器では詳細情報(メーカ/OS/ホスト名など)をエッジ・アナライズテクノロジーにより自動で識別可能。
これにより、直接機器の種別を確認して情報を登録する手間が削減できるほか、常に最新の状態が確認でき、レイアウト変更の度に発生する手作業での管理情報の更新を自動化できるようになる。
通常、安価で多く利用されるスイッチングハブ(ノンインテリジェントハブ)は、ネットワークから検出できないが、iNetSec FCでは「エッジ・アナライズテクノロジー 2.0」を搭載し、新たにスイッチングハブの検出機能を備えた。
スイッチングハブを把握することで、故障時の影響範囲を見える化し、ライン復旧までの時間を短縮できるようになるという。
さらに、接続機器の一覧だけでなく、どのネットワークにどの機器が接続されているかを自動で検出可能。高度なITスキルや既存設備への設定変更もなく、どの機器がどのスイッチングハブのどのポートに接続されているか、接続構成を自動的に取得して表示できる。
ネットワークの負荷(使っている帯域)・品質(転送エラー数)も見える化でき、転送性能低下や機器故障のトラブルリスクを予め把握できるようになる。また、過去の状況も分かるので、問題発生時の状態を把握し、原因特定を迅速化できるという。
実際にトラブルが発生した場合でも、常時監視していることから、どの機器にトラブルが発生したのかを画面ですぐに確認できる。なお、ネットワークの専門知識がなくても直観的に理解できる表示を採用。トラブルが発生している機器や影響範囲を一目で確認できるという。
なお、稼働停止が許されない生産現場でも安心して導入できるように、パケットを送出しない「パッシブ検知方式」を採用。機器の検出時に一切パケットを発信しないため、ネットワークに影響を与えず、生産が止まることはないという。
加えて、機器の詳細情報を把握したい場合は、利用者の操作により「アクティブ検知方式」による情報収集にも対応する。
iNetSec FCは、10月27日〜29日まで開催される名古屋スマート工場EXPOに出展している。会場は、ポートメッセなごや 第1展示館だ。
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