Microsoftは、同社の「Surface」と「Xbox」のハードウェアをより簡単に修理できるようにすることを求めるアクティビスト(物言う株主)の要求を受け入れた。
投資家擁護団体のAs You Sowは6月、Microsoftのハードウェアを対象とした株主決議を米証券取引委員会(SEC)に提出していた。
Microsoftはソフトウェアを主力とする企業だが、10億ドル(約1120億円)規模のSurface事業を展開し、ゲーム機のXboxも製造している。ただし、Apple、サムスン、Dell、HP、レノボなどのハードウェア事業の規模には遠く及ばない。
Microsoftは、以前から修理しやすさに配慮してきたという点で興味深い存在だ。同社は2019年10月、「Surface Laptop 3」のキーボードが容易に取り外せるので、修理業者がマザーボードにアクセスしやすいことをアピールした。「修理する権利」を求める活動を展開するiFixitは当時、この第3世代のSurface Laptopが「より優れた、より修理可能な方向に明確に舵を切った」と評していた。
とはいえ、Microsoftがハードウェアに及ぼす影響の大部分は、Dell、レノボ、HPなどが手がける「Windows」搭載PCと、「Azure」クラウドを通じたものだ。
ハードウェアの生産ラインでも変化は緩やかだ。As You Sowは6月、SECに株主決議を提出し、Microsoftに対して「工具、部品、修理方法に関する情報を一般に公開するなどの手段を通じて、デバイスの修理を容易にすることの環境的、社会的メリットを調査するよう」求めていた。
As You Sowはその際、Microsoftが自社製品の「早すぎる廃棄処分」をもたらしているとしていた。
「Microsoftは自らを気候変動対策と環境保護のリーダーと位置づけているが、消費者がデバイスを修理する権利を制限することで、自社デバイスの早すぎる廃棄処分を促進している」(同団体の廃棄プログラムコーディネーター、Kelly McBee氏)
「持続可能性に寄与する真の活動を起こし、貴金属などの限られた資源の採掘を求める圧力を低減させるために、同社は修理へのアクセスを広く促進することで、デバイスの耐用年数を延ばさなければならない」(同氏)
As You Sowが指摘しているように、米連邦議会に最近提出された「Fair Repair Act」(公正修理法)法案は、ハードウェアを修理するための診断情報を消費者と修理業者に提供することをテクノロジー企業に義務づける内容となっている。
McBee氏によると、Microsoftの弁護団は当初、修理の問題について「対立的」だったが、6月の株主決議を受けて態度を変えたという。
Gristの報道によると、Microsoftは今回の合意により、修理の問題に関する調査結果の概要を2022年5月初めまでに公開することを義務づけられたという。また、2022年末までに正規の修理サービスネットワーク以外からでも新しい部品と技術仕様書を入手できるようにすることに同意した。
Microsoftは、As You Sowの投資家から提起された問題に対応中であることを認めた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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