パナソニック、IoT家電つなげてユーザーとの関係を築く--「これからの家電」とは

 パナソニックは9月21日、コロナ禍を受けビジネススタイルや暮らしが大きく変わる中、これからの家電の形、サービスを採用した新製品、新サービスを発表した。「一人ひとりに“ちょうどいい“くらしへ」をテーマに、「音声プッシュ通知」や「Panasonic Care(パナソニック ケア)」など、購入後にもユーザーと接点を持てる仕組みを整えていく。

「音声プッシュ通知」の例。洗濯乾燥機の運転が終了するとテレビ側に通知が表示される
「音声プッシュ通知」の例。洗濯乾燥機の運転が終了するとテレビ側に通知が表示される

 パナソニック アプライアンス社副社長兼 本地域コンシューマーマーケティング部門長の河野明氏は「暮らしに寄り添う新しい家電サービスについて紹介する。パナソニックでは家電のIoT化に注力し、現在ではエアコンや洗濯機、オーブンレンジ、テレビなど、12カテゴリーでIoT家電を提供し、家電全体のうちの約3割を占めるまでになった」と現状を説明した。

 新たに発表されたのは、ルームエアコン「エオリア LX」シリーズ(想定税込価格35万2000円~47万3000円前後)、セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS10K」(同:6万5000円前後)、レイアウトフリーテレビ「4Kビエラ TH-43LF1」(同:24万円前後)の新商品と、新サービスPanasonic Care(税込価格:7000~1万5000円)、「エアコン クリーニングサービス」(同:2万4200円~34万2900円)。すでに発表されている加湿空気清浄機「F-VXU90」(想定税込価格:10万7000円前後)、空間除菌脱臭機ジアイーノ「F-MV4300」(同:16万5000円前後)、ドラム式洗濯乾燥機「NA-LX129A」(同:39万5000円前後)、オーブンレンジ「NE-UBS5A」(同:6万5000円前後)、ライス&クッカー「SR-UNX101」(同:4万5000円前後)とあわせて、サービスまで含めたIoT家電を打ち出す。

 同日に発表された音声プッシュ通知サービスは、クラウドを介して各IoT対応家電を互いに連携させ、洗濯の終了やエアコンが設置されている部屋の温度上昇など気がつきにくいことをタイムリーに家電が音声で知らせるサービス。対応する家電はテレビ「JZ2000/JZ1000/JX950/JX900/JX850/JX750シリーズ」、レイアウトフリーテレビTH-43LF1、ポータブルテレビ「プライベート・ビエラ」(2021年度冬発売予定)、ロボット掃除機「RULO(ルーロ) MC-RSF1000/RS700/RSF600」。

  洗濯乾燥機の運転終了や、加湿器の水が少なくなっていることなど、気がつきにくいことをタイムリーに家電が音声で知らせることで、家族における家事の分担を目指す。「ゴミの日」や「薬の時間」なども登録ができるほか、2022年春には、宅配便の配送予定のお知らせも開始する予定だ。

「音声プッシュ通知」の仕組み
「音声プッシュ通知」の仕組み

 コロナ禍で急速に関心が高まった空調には、換気、加湿、新除湿の3つの機能を持った室外機と、有害物質の抑制スピードがアップした新「ナノイーX」を搭載したエオリア LXシリーズで対応する。室外機に、水分を吸湿させる素材として「高分子収着材」を搭載し、暖房時には外気の水分を取り込み室内へ送る。これにより給水の手間なく室内を加湿し、除湿時には乾燥させた外気を室内へ送る「ドライ給気制御」を実現し、寒くなりにくい快適な除湿を実現する。

 専用アプリ「エオリア アプリ」には、「シーン推定自動運転機能」を新たに追加し、スマートフォンのGPSや本体センサーのデータを活用し、帰宅前や就寝時のシーンを推定、それぞれに合わせた最適な運転を自動でできるとしている。

ルームエアコン「エオリア LX」シリーズ
ルームエアコン「エオリア LX」シリーズ

 あわせて、「エアコン クリーニングサービス」もリニューアルした。会員サイト「CLUB Panasonic」に登録したサービス対象のエアコンのクリーニングが必要なタイミングになると無料通知がくるほか、クリーニング申し込み専用ウェブサイトを新設。11月上旬に開始予定で、長期使用のサポートを強化する。

 スティック掃除機MC-NS10Kは、本体からダストボックスを分離したセパレート型を採用。掃除後に本体を戻すだけでゴミを自動で収集し、スティック本体のゴミ捨て不要になる。これは、1回の掃除時間が減少する一方、掃除する頻度は増加する傾向にあるという昨今の掃除スタイルを受け開発したもの。本体重量約1.5kgと軽く、掃除前の準備や掃除中の負担も軽減できるとしている。

セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS10K」
セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS10K」

 また7月に発表したオーブンレンジNE-UBS5Aは、IoT対応に加え、グリル皿やスチームポットを別売アタッチメントとして用意することで、機能をアップデートできる仕様にしているとのこと。最初から多機能になっているのではなく、レンジとオーブンの基本機能からスタートし、ライフスタイルの変化に合わせて機能を選び、アップデートできるようにしているという。

 河野氏は「商品登録やインターネットに接続することで、家電を常にサポートし続けていくことができる。しかし、これまでのIoT家電にはネット接続の面倒さがあった」として、QRコードを使ったかんたん接続をサポートしていることも紹介。同日には、IoT対応家電の1台1台にあわせたメンテナンス サービスとしてパナソニックケアを打ち出し、長期使用のサポートを強化していく方向性を示した。

 パナソニックケアでは、エアコンと洗濯機からスタートし、お手入れのタイミングを通知しお手入れ部品や消耗品を届けるプランと、加えて修理保証が付いたプランの2つを用意。メーカー保証の1年を超えた場合においても購入から最大で5年間、万が一の故障の際には追加料金なしで修理対応できるなどのメリットも設ける。対応機種は順次拡大していく計画だ。

 パナソニック 専務執行役員アプライアンス社社長の品田正弘氏は「家電は誰でも使える身近なものとしてテクノロジーを浸透させ、暮らしを進化させてきた。しかしIoT家電になり、かんたん接続が求められている。一方、地球の環境問題もまったなしの状況になってきている。テクノロジーは便利さ、快適さを提供するだけに留まらず、省エネやフードロスの削減など、社会課題にも貢献する。私たちパナソニックもそのような役割を担いたい」と立ち位置を示した。

 パナソニックでは「お客様に寄り添うさまざまな製品、サービスを順次展開し、2024年度にはIoT家電の構成比を家電全体の6割まで向上し、1000万人のお客様と深くつながり続けることを目指す」(河野氏)とした。

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