WHILLは9月16日、近距離モビリティ(次世代型電動車椅子)「WHILL」を取扱う全国の自動車ディーラー31社と、9月21日からWHILLを活用する取り組みを推進することを発表した。WHILLと自動車ディーラー各社はともに、WHILLの試乗・体験機会を増やすほか、WHILLの利活用を通じて免許返納を応援する。さらに、高齢化などにともなう地域それぞれの社会課題の解決を目指すという。
本取り組みは、持続可能な開発目標(SDGs)で掲げる「目標3:すべての人に健康と福祉を」などに沿うもの。WHILLならびに全国の自動車ディーラー31社、約430店舗が参加する。秋の全国交通安全運動が始まる9月21日をきっかけとして、自動車ディーラー各社は、人生100年時代にも生き続ける不変的なクルマの価値を伝えるため、その価値をうたうスローガンをそれぞれ表明する。
主な取り組みとしては、全国160店舗超に試乗機を設置し、新しいクルマとしてのWHILLの試乗機会を大幅拡充。試乗可能な店舗についてはWHILL特設ページに記載されている。
このほか、各社で免許を返納した方への店舗サービスを11月末まで実施予定。各店舗にて免許を返納した方に、家族からのメッセージを書き込める運転感謝状をプレゼントする。また、WHILLを購入した場合は、WHILL納車式を実施する。各自動車ディーラー店舗でWHILLを購入した方を対象に、記念撮影や写真の贈呈などを盛り込んだセレモニーとなっており、免許を返納した、近く返納を予定している方で、WHILLを11月末までに成約した方に限るという。
WHILLと自動車ディーラーとの連携は、6月に続いて2度目。前回の17社から31社に倍増し、試乗可能店舗数も拡充することで、免許の返納に悩んでいる方や、すでに返納したけれどもクルマに乗り続けたい方、体力は落ちたけれどまだまだ運転を楽しみたい方などに対し、安心して体験・検討できる場を増やすという。
こうした取り組みの背景には、全国の免許返納件数は2019年以降で、増加している一方、高齢者の中には返納を検討しているものの、自動車が生活の足であることから踏み切れない、車が好きで乗り続けたいとして、実際に自動車ディーラーに相談を持ちかける方も多いという。WHILLを取扱う自動車ディーラー31社にアンケート調査を行ったところ、回答数22社のうち、7割(15社)が店頭にて免許返納の相談を受けたと回答。家族からも運転を続けることへの心配がある一方、移動手段が限定される、外出頻度が減ってしまうといった懸念から勧めにくいとの声もあったとしている。
同日に行われた記者説明会で、WHILL 日本事業本部 執行役員本部長の池田朋宏氏は、6月に取り組みを開始した段階で「免許の返納という、とてもネガティブにとらえられることを、よりポジティブなものに変えたい。免許を返納したあとの移動手段が確保されてない、認知されていないという課題を解決したい」と考え、納車式などを実施したという。
こうした取り組みを通じて、WHILLの導入が進んだところがある一方で、各ディーラーへのヒアリングや同社のリサーチによって、浮き彫りになったのが地域課題。少子高齢化や、地域によってクルマの依存度も異なる状況があること、公共交通機関の拡充が不十分など、個人による移動格差と呼ばれるものがあると、池田氏は指摘する。
今回を取り組みを通じて、これまでうたってきた免許返納後の安全安心な移動手段ということだけではなく、地方に根差した自動車ディーラーとともに、人生100年時代におけるすべてのシニアに快適な移動手段として提案することを狙うとともに、各自動車ディーラーがメッセージを発信するなど参加型の取り組みとして、各地域の課題解決に繋げていく考えを示した。
説明会では、取り組みに参加する自動車ディーラーから、熊本トヨタ自動車 執行役員 営業副本部長の中川大氏ならびにホンダ自販タナカ 代表取締役社長の浅生忠和氏からも説明。ともに免許返納後に移動手段について課題を感じているなかでWHILLの取り扱いを始めたとし、この取り組みを通じて地域社会の課題解決にも繋げていきたいと語った。
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