神戸市とマクアケは9月7日、「中小企業のイノベーション創出・販路拡大支援に関する事業連携協定」を締結したことを発表した。市内中小企業と都市型創造産業に従事する人材の協業により、新たな商品・サービス開発、持続性のある新規事業を生み出すイノベーション創出支援プログラムを実施し、地域産業全体の活性化・高付加価値化につながる好循環を作り出す取り組みを進める。自治体とマクアケの連携協定は、横浜市、徳島市に続いて3例目、関西では初となる。
連携の狙いとして、(1)中小企業のイノベーション創出、(2)クリエイター・企業の誘致、(3)地域産業全体の活性化の3つを挙げている。ICTの活用が苦手な中小企業に対し、既存の支援プロジェクトを通じて著名なサービス・プラットフォームの活用方法を紹介し、市内外の協業機会の創出も狙う。特にマーケティング・広報面での支援が期待されている。
具体的な取り組み内容は、(1)Makuake活用セミナー・個別相談会の開催、(2)既存の中小企業支援プログラムとの連携、(3)プロジェクトページに関するサポート、(4)市内クリエイターなどとのマッチング、(5)「神戸市×マクアケ」特集ページの開設の5つ。
参加条件として、神戸市が現在実施する3つのイノベーション創出支援プログラム「プロジェクト・エングローブ」「ミライ経営塾 Wonders(ワンダース)」「ものデザインコラボ LAB KOBE」のいずれかに参加する必要がある。最初の取り組みとして、第1回「Makuake活用セミナー・個別相談会」を10月20日に開催する。参加費は無料だが、個別相談会は先着8社としている。
マクアケは2013年に創業し、同社のサービス「Makuake」もクラウドファンディングサイトとして認知されている。だが、国内ではクラウドファンディングは寄付を集めるためのサイトというイメージが強いことから、Makuakeでは数年前から“アタラシイものや体験の応援購入サービス”へとブランドをアップデートし、世の中にない商品をいち早く知り、使いたいというユーザーに向けて製品やサービスを届けることに力を入れている。
各地域に根ざしたサポートに力を入れており、東京本社の他に関西支社、九州拠点、名古屋拠点を設け、発表会にも登壇したマクアケ地方事業部長の菊地凌輔氏が、それらの統括を担当している。2014年の関西支社立ち上げ後、兵庫県は他の地域に比べて利用が伸び悩んでいたが、コロナ禍の影響で2020年は掲載件数が約3倍に増えたという。
菊池氏は「ユーザーは成果報酬として調達金額の20%を支払う以外は、プロジェクトページも初期費用なしで立ち上げられ、いろいろ挑戦できることから、新商品開発プラットフォームとして地域経済の活性化にもつながりやすい」と説明する。
従来から個別相談やプロジェクトページのサポートなどはしているが、プロジェクトページの作成では、神戸を中心に活躍するデザイナーやクリエイターが登録する「神戸クリエイターズノート」をマッチングの対象としている。また、そこからマクアケが運営するMakuake Creators Network(マクアケクリエイターズネットワーク)への登録を促す。年度内には神戸市のプロジェクトを集めた特集ページを開設し、プラットフォーム全体の認知度向上といった波及効果を狙う。
神戸市はこれまでにも、フェイスブックジャパンやTikTokらとの連携協定による地域新興に取り組んできた。今回は既存のプロジェクトと連携することで、それぞれの運用効果を高めようとしている。
会見に登壇した中小企業に経済観光局経済政策課担当係長(都市型創造産業担当)の長井伸晃氏は「9月7日から翌年3月31日の実施期間内に公開予定の特集ページも含め、状況にあわせて支援内容は調整していく」としており、目標も件数を増やすよりそれぞれのプロジェクトが話題になることだとしている。
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