ライカ初のスマホ「Leitz Phone 1」のカメラ性能をチェック--1インチセンサーの実力は

 群雄割拠のスマートフォン業界だが、その中でも異色といえるモデルが登場した。それが、ライカが自社ブランドで初めて出した「Leitz Phone 1」だ。この記事では、写真機能を中心にLeitz Phone 1の実力を掘り下げてみる。

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ライカ初のスマートフォン「Leitz Phone 1」。「AQUOS R6」と兄弟モデルである

 ライカといえば、ドイツに拠点を持つ老舗のカメラメーカーだが、同社初のオリジナルスマートフォンがLeitz Phone 1になる。特徴はなんと言ってもカメラにあり、スマートフォンでは最大級の1インチセンサーを搭載。画素数は約2020万画素で、レンズは35mm換算19mmの「Summicron」を搭載する。SummicronといえばF2のレンズに使われるブランド名だが、Leitz Phone 1のレンズはF1.9という明るさを誇る。測距用のToFセンサーを内蔵してはいるが、昨今のハイエンドモデルでは珍しいシングルカメラ構成となる。

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レンズは、19mmF1.9の「Summicron」を採用

 「スマートフォン×ライカ」という組み合わせで言えば、ファーウェイのスマートフォンが有名だろう。2016年に登場した「HUAWEI P9」は、ライカと協業したカメラを搭載。これ以降、ファーウェイのハイエンドスマートフォンには、ライカのロゴが輝くことになる。なお、1インチセンサーのスマートフォンといえば、2015年にパナソニックが発表した「CM1/CM10」を連想する人もいるだろう。CM1は、正確にはデジタルカメラに属するのだが、SIMスロットを内蔵し、ネット以外に音声通話も可能だった。なお、こちらもライカレンズ(DC Elmarit)を搭載していた。

 Leitz Phone 1に関して言えば、スマートフォンメーカーとの協業ではなく自社の製品として出したことに大きな違いがある。製造自体はシャープが手掛けており、ハードウェアもフラッグシップモデル「AQUOS R6」と同じではあるが、装いは大きく異なり、高品位なアルミフレームに、ダークグレーのマットなガラスパネルを裏面にあしらうなど、ライカっぽい質感を漂わせている。フレームには、ライカ製レンズのピントリングのようなローレット加工が施されており、大型スマートフォンながら手に馴染む。さらに、カメラ部分をカバーするアルミ製のレンズキャップや、グレーのシリコンケースも付属する。

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アルミフレームに施されたローレット加工
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アルミ製のレンズキャップとシリコンケースが付属する。レンズキャップは磁力で吸着することができる

 なお、事前にお伝えしておくと、本機をテストしたのは8月の前半で8月16日に配信が開始されたソフトウェアアップデートの適用前での評価となる。アップデート内容に「カメラアプリの動作安定性の向上」が含まれており、Leitz Phone 1を使ってみて感じた部分が改善されている可能性がある。

スマートフォンでは最大サイズの1インチセンサーを搭載

 カメラは、先述の通り19mmの超広角レンズのみのシングル仕様で、デジタルズームを使うことで24mm、48mmの画角でも撮影できる。レンズに関しては、被写体のエッジ部分は少しシャープネスを感じるものの自然な仕上がりで、19mmという広角ながら周辺の流れも少ない。マクロに弱かったり夜間撮影で点光源が端に入り込むと特徴的なフレアが出ることはあるものの、総合的にレベルの高い描写と言える。作例が気になる方は、本記事の2ページ目を参照してほしい。

 カメラアプリのUIは、一般的なスマートフォンと大きく異なるものではないが、特徴的なのが24mmと48mmの焦点距離で表示される「ブライトフレーム」だろう。これは、ライカが1954年に発売した「M3」と呼ばれるモデルから内蔵しているもので、デジタル含め同社の主力モデルであるM型ライカではおなじみの機能といえる。一般的な一眼カメラと異なり、M3などのレンジファインダー機はレンズで捉えた光をファインダーで直接見ることができないため、装着しているレンズの画角を把握するための“枠”がファインダーに設けられている。これがブライトフレームだ。枠より広い視野も確認できるためフレーミングしやすいメリットがあり、ライカらしいUIと言える。

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白い枠がブライトフレーム。数字は焦点距離を表す

 画質自体は、他のスマートフォンのように記憶色寄りのビビッドな色味というよりは、比較的ニュートラルな写りをする。ダイナミックレンジは、1インチセンサーならではの広さがあるものの、HDR性能が高いスマートフォンと比べると、光源が強いシチュエーションなど、白飛び、黒つぶれが若干気になる。Leitz Phone 1には、「オートHDR」というシーンに応じて自動でHDRが適用されるモードもあるが、強力に補正するわけではないようだ。良くも悪くも、派手な画像処理をかけないカメラ寄りの写りだと感じた。

 1インチセンサーかつF1.9の明るさと来れば、気になるのが光学的なボケ味だろう。結論を言えば、過度な期待はしないほうが良いかもしれない。もちろんボケはするのだが、滲んだようなボケ味で個人的にはあまりきれいとは感じなかった。それよりも、画像処理でボケを加える「背景ぼかし」機能が優秀で、シングルカメラながら高精度なボケを生成でき、他のスマートフォンなら無効になりそうな遠い被写体でも背景をぼかすことができた。

 また、兄弟モデルのAQUOS R6にはない機能として「Leitz Looks」がある。これは、ライカのモノクロ写真を再現したモードで、いつもの日常を印象的なモノクロ写真として記録することができる。「ただのモノクロモードでは」と言われればその通りなのだが、少し露出を下げるとより空気感をまとった写真が撮れるように感じた。背景ぼかしとLeitz Looksは、Leitz Phone 1で特に気に入った機能の2つだ。

 なお、Leitz Phone 1は、19mmのカメラをシングルで搭載するため、24mmや48mmは基本クロップとなる。ただし、出力される画像自体はすべて同じ解像度のため、解像度を補完する処理が入っているのだろう。24mmでは精細さをキープするが、48mmでは補完量が多いのかディティールが甘い画像になりやすい。レンズの素性が良いため、素直にクロップしたほうがシャープさを保てそうなのが少々惜しいポイントだ。

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