家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を運営するクラスが、耐久消費財の「サブスクマーケットプレイス」へと事業を拡大する。9月8日には総額約21億円の資金調達を実施。採用、組織体制を強化し、循環型の「所有しない利用」を推し進める。資金調達先はグロービス・キャピタル・パートナーズ、モノフルなど。クラスの累計資金調達総額は約28億になる。
クラスは2018年に家具のサブスクリプションサービスとしてスタート。その後、家電の取り扱いを開始するとともに、自社ブランド家具の開発、貸し出しもスタート。B2Cとして個人向けに展開する一方で、ホテルや民泊施設、オフィス向けといったB2B需要も取り込む。
クラス 代表取締役社長の久保裕丈氏は「耐久消費財を中心に、電気などのインフラ系まで取り扱いサブスクリプションのマーケットプレイスになりたい。今回の資金調達で得た資金は、システムオペレーションを含め、インフラに重点的に投資していく」と今後を見据える。
目指すのは、循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会づくり」の実現だ。CLASでは、すでに家具のリペア体制を整え、借り主に送る、使う、戻す、リペアしてまた貸し出すといったサイクルを構築。「作る責任、使う責任を企業として果たしていきたい」(久保氏)と言い切る。
取り扱い商品の拡大には追い風も吹く。「メーカーの方と話して伝わってくるのは『リカーリングビジネスに参入したい』という思い。ただ、集客やオペレーションなどを各自で組み立てていくのは難しい。その部分をCLASが引き受けることで、リカーリングビジネスへの参入障壁を低くできる」(久保氏)と順調に提携先を増やす。
重点的にテコ入れするインフラについては、「すべてのシステム間をシームレスにつなぎ、効率的なインフラを構築したい。現在、発注、倉庫、配送そして返却という流れがスタンダードだが、これを可能な限り人の手を介さない、自動化したオペレーションに変える。もう一つはデータをもとに、徹底的に最適化する。例えば、倉庫内において、商品ジャンル、サイズに稼働率などをかけ合わせて、どこに何を置けばオペレーションしやすくなるのか、そのシステムを構築したい」(久保氏)と徹底的な効率化を目指す。
加えて、配送やリペアの順番、商品の在庫状況といった部分にも最適化を徹底していく方針だ。「人の手が介在するのはリペアなど、人の手でなければできない部分。リペアにおいても、商品をパーツ単位で管理するなど、効率化できる部分は積極的に変えていく。オペレーション、仕入れ、リペアとあらゆるシステムを作り込んでいく」と大幅にメスを入れる。
そのために採用も強化する。現在でも月に10数名は新入社員を迎えているクラスだが、2023年までに100名の採用を実施する計画だ。「オペレーション、仕入れ、リペアとあらゆるシステムを作り変えていけば、サブスクリプションサービスだけでなく、ECや宅配などのジャンルにも応用がきく。他社で同様のシステムを作っているところがあれば、ぜひそれを活用したいが、調べた限りでは見つからなかった。ならば、自社ですべてを作り、一気通貫で取り組んでいければと思っている。そのためにエンジニアの採用を進めていきたい。新しいオペレーション作りを一緒に担っていける人を募集している」(久保氏)と積極的な姿勢を見せる。
サブスクマーケットプレイスへと事業を拡大するクラスだが、将来的に見据えるのは、地球環境を考えた事業の構築だ。久保氏は「環境に配慮したビジネスを構築していくことは非常に大事。現在リペアに取り組んでいるが、今後は梱包資材なども環境に配慮したものに変えていくため、再利用ができる布製の梱包材を開発中だ。あらゆる商品にサブスクリプションを導入することで、環境負荷を下げ、この業界におけるフロントランナーになっていきたい」と今後について話した。
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