米連邦取引委員会(FTC)は米国時間8月19日、Facebookを反トラスト法違反で提訴していた裁判で、訴状を修正して再提出した。FTCは、Facebookが競争上の脅威とみなす企業を買収または排除することによって、 独占的な地位を不当に維持していると訴えている。
FTCは80ページにわたる新しい訴状の中で、Facebookが競合企業を買収したり、開発者による同社データへのアクセスを制限したりといった方策によって、違法に競争を阻害していると主張している。また、消費者にとってはソーシャルネットワークにおける選択肢が減って不利益となり、Facebookはユーザーから収集した個人データによるメリットを享受できるとしている。
「Facebookには、モバイルへの移行を生き抜くための商才と技術的能力に欠けていた。革新的な新興企業との競争に失敗し、それらの高い人気が実存的な脅威になった時点で、Facebookはそれらを『買うか葬るか』という違法行為に頼った」と、FTC競争局で局長代行を務めるHolly Vedova氏は声明で述べた。
米連邦地方裁判所のJames Boasberg判事は6月、Facebookが個人向けソーシャルネットワークにおいて独占的な地位を保有していることを示す十分な証拠をFTCは提示していないとして、反トラスト法違反を訴えるFTCの訴状を棄却した。同判事は、Facebookのサービスが消費者に無料で提供されていることを指摘し、何をもってソーシャルネットワークとみなすかという定義が「一目瞭然であるとはまったく言えない」と述べていた。
FTCは、Facebookが市場支配力を濫用して競合他社に害を与えた独占企業であるという主張を裏付けるためのさらなるデータと証拠を追加した。FTCは、FacebookとInstagramの米国における月間アクティブユーザー数と、それらのユーザーがアプリ上で毎日費やす時間を示す、Comscoreのデータを引用している。自動消滅するメッセージアプリ「Snapchat」は、それらに次ぐ規模を誇るソーシャルネットワークだが、月間アクティブユーザー数はFacebookやInstagramよりも数千万人少ないことを、FTCは指摘した。
個人向けソーシャルネットワークとは、「友人や家族など、社会的空間を共有する個人的なつながりのある人々との個人的関係を維持して体験を共有することを可能とし、それを目的として人々に利用される」ものだと、FTCは述べている。FTCは訴状の中で、動画アプリ「TikTok」は、個人的には知らない人々に対してコンテンツを共有するものであるため、この市場には含まれないとしている。
Facebookの広報担当者はFTCの訴状について「根拠がない」として、「Facebookが独占企業であることを示す有効な主張はこれまでなく、その状況は変わっていない」と述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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