米連邦取引委員会(FTC)と複数州の司法長官がFacebookを反トラスト法違反で提訴していた2つの裁判で、連邦裁判所は米国時間6月28日、原告の主張を棄却する判断を下した。原告は、Facebookがソーシャルネットワークにおける独占的な支配力を維持するために違法な反競争的行為に関与していると主張していた。
FTCと複数州はこれらの訴訟で、Facebookが競合のソーシャルネットワークと競争するのではなく、それらの企業を買収するなどして競争を封じていると主張していた。その結果、消費者に対するソーシャルネットワークの選択肢が少なくなり、Facebookはユーザーからの個人データの収集による利益を得ることができたという。
今回の棄却はFTCにとって大きな後退だが、FTCは30日以内に修正した訴状を提出することができるため、これでこの訴訟が終了したわけではない。これとは異なり、裁判所は複数州による訴訟については完全に棄却した。
James Boasberg連邦判事は28日に発行した法的文書の中で、FTCはFacebookが個人向けソーシャルネットワークで独占的な支配力を保有しているという十分な証拠を示していないと述べた。ソーシャルネットワークサービスは無料であり、何をソーシャルネットワークとみなすかは「一目瞭然であるとはまったく言えない」と判事は指摘した。
Boasberg判事は、48州の司法長官がFacebookを提訴した類似の訴訟も棄却した。同判事は、Facebookによる写真共有SNS「Instagram」とメッセージアプリ「WhatsApp」の買収について、何年も経ってから法的に問うことはできないと指摘した。両社はそれぞれ、2012年と2014年に買収されている。
同判事はまた、ユーザーが別のサービスにデータを移行することを難しくしているFacebookの慣行についても、反トラスト法の下で違法ではないとした。
Facebookの広報担当者は、両方の訴訟を棄却した同判事の判断を称賛した。「Facebookに対する政府の訴状の欠陥を認めた28日の判断に満足している。当社はユーザーの時間と関心を獲得するために日々公正に競争しており、今後も優れた商品を、当社のサービスを利用する人々や企業に提供していく」
FTCは「この判断について詳しく確認中で、今後の最適な選択肢を検討している」と述べた。複数の州による訴訟を取りまとめていたニューヨーク州のLetitia James司法長官の広報担当者も、この判断について確認中だとして「法的な選択肢」を検討しているとコメントした。
Facebookは、WhatsAppとInstagramを分離すれば、プライバシーとコンテンツモデレーションをめぐる同社の問題の解決につながるとする意見に、繰り返し反論してきた。同社は、偽情報やヘイトスピーチなどの不快なコンテンツに対する対策が十分でなく、ユーザーのプライバシーを保護できていないとして、批判されている。同社は、WhatsAppとInstagramの買収はFTCの承認を受けたものだとして、同社の分割を求める動きは「修正主義的な歴史」だとした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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