アフガニスタンでタリバンが全権を掌握したことを受け、同国の女子ロボットチームが国外への脱出を必死に模索している。
ニューヨークを拠点として国際人権問題を扱う弁護士のKimberley Motley氏は現地時間8月15日、カナダのCBC Newsの取材に対して、「彼女たちは非常に怯えている」と語った。チームメンバーらはカナダに移って教育を受けることを望んでおり、Motley氏は彼女たちの支援に乗り出している。
Motley氏は次のように述べている。「彼女たちはヘラートにおり、そこの大学では今、女性が追い返されている」「大学側は女子学生らに『大学に戻ってくるな』と伝えている。女性は職場に顔を出しても追い返されているのが現状だ。彼女たちはこの状況を見て、自分たちの街が崩壊していくのを涙ながらに見つめている」
タリバンは彼女らの故郷であるヘラートを占領した。ヘラートはアフガニスタンの第3の都市であり、首都カブールに迫る上で戦略的に重要な州都だ。タリバンの戦闘員らは、現地時間15日にカブールを支配下に置き、事実上国全体を掌握した。NBCが公開した映像には、武装集団のメンバーらが、ヘラートの歴史ある青いモスクの前を通り過ぎて、政府の建物を急襲する様子が映っている。
女子学生らが所属するAfghan Girls Robotics Teamは、アフガニスタンのハイテク起業家Roya Mahboob氏によって、2017年に結成された。同氏はDigital Citizen Fundの責任者を務め、STEM(科学、技術、工学、数学)やロボット工学のクラスを開講している。
チームのメンバーは12〜18歳で、戦争などの困難を乗り越えながらエンジニアリングとロボット工学への情熱を追求し、国の威信を高めてきた。また、より進歩的なアフガニスタン人の象徴として、世界中のニュースで取り上げられていた。
米CNETの動画では、2018年に開催された国際ロボットコンテストで、チームのメンバーが「勇敢な功績賞」で銀メダルを授与されている。他のチームが4カ月かけてロボットを製作したのに対して、アフガニスタンのチームは、のちにTrump前米政権が介入するまで、米国行きのビザの発行を2度拒否され、ボールを仕分けるロボットを製作してワシントンDCに発送するまで2週間しかなかった。
新型コロナウイルスのパンデミック中、チームは古い自動車部品を使って、低コストの人工呼吸器に取り組んだ。
アフガニスタンのAshraf Ghani大統領が国外に脱出したと報じられ、タリバンが権力を掌握して国内各地がパニックと混乱に陥っていることから、Motley氏は、少女たちの未来を心配していると述べた。
「不幸なことに、この1週間、タリバンは文字どおり1軒1軒回って、少女を連れ出して無理やり結婚させている。このAfghan Girls Robotics Teamにそうしたことが起きるのではないかと非常に懸念している。少女たちはエンジニア志望で、人工知能(AI)コミュニティー入りを希望している。勇気をもって夢を抱き、成功を望んでいる」(同氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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