チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer(ステイラー)」を展開する10Xは7月28日、既存投資家のDCM Ventures、ANRIより、総額約15億円の資金を調達したと発表した。累計調達額は約21億円になるという。
同社が展開するStailerは、スーパーマーケットやドラッグストアといった多店舗運営(チェーンストア)を行う小売・流通事業者を対象とするECの垂直立ち上げプラットフォーム。長期的にチェーンストア事業を成長させるために必要な、エンドユーザー向けのモバイルアプリ、店舗向けのピックパック、在庫管理システム、配送業者向のオペレーティング・システム、分析ツールといったシステムをフルセットで提供している。
同社では、献立アプリ「タベリー」や自社運営のネットスーパー「タベクル」の開発・提供を経て、2020年5月にStailerの提供を開始。イトーヨーカドー、ライフなどのスーパーマーケットや薬王堂などのドラッグストアで導入されたことに加え、複数の業界大手企業でも導入検討が進んでいるという。
加えて、Stailerを通じて提供したネットスーパーアプリでは、利用者の翌月継続率が約70%、1カ月の平均購入額(ARPU)が約2万円など、利用者の生活に必要不可欠なインフラになっていると説明する。
しかし世界規模でみると、米国や英国、中国ではEC化率が10%を越えて急成長する中、日本市場における食品のEC化率は2019年で市場規模の2.9%にとどまり、物販全体の6.8%を下回っていると指摘。この背景には、小売事業者内での大量のSKUに対応したシステムの不足、デジタルに特化した知見の不足、初期投資のリスクなどが挙げられると説明する。
このような状況の中、同社では調達した資金をもとに、ソフトウェアエンジニア、事業開発、コーポレートなど、幅広い職種を新規採用することで組織拡大を図るとしている。また、チェーンストアECの物流機能の拡張や顧客獲得の加速に対して投資することで、Stailerの展開を加速させたい考えだ。
さらに、大手小売企業との深い関係性を活用した非連続な事業成長の機会を模索すべく、事業シナジーの高い企業やソフトウェアプロダクト開発に強みのある企業への出資やM&Aなども積極的に検討していくという。
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