植物肉のグリーンカルチャー、亀田製菓らと資本業務提携--シリーズAで2.5億円の調達

 グリーンカルチャーは7月1日、ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター(UMI)をリードインベスターとして、亀田製菓、オイシックス・ラ・大地の計3社を引受先とする第三者割当増資により、総額2.5億円の資金調達を完了したと発表した。

グリーンカルチャーが展開する植物肉を使用した料理
グリーンカルチャーが展開する植物肉を使用した料理

 亀田製菓とオイシックス・ラ・大地とは資本業務提携を締結しており、製造から販売まで事業全般でのシナジーを見込む。なお、今回の調達に合わせ、オイシックス・ラ・大地の子会社であるFuture Food Fundも既存株主からの譲受により、グリーンカルチャーの新規株主となっている。

 グリーンカルチャーは、プラントベース製品の通信販売専門店として2011年に創業。事業運営の中でプラントベース食品開発のノウハウを蓄積してきた。同社代表取締役の金田郷史氏自身がヴィーガンであり、おいしさにもこだわってきた。

スチームコンベクションオーブンで調理したハンバーグ。試食したところ、箸をいれた時の固さは独特だが、味は植物肉だと言われなければわからないおいしさと感じた。植物肉の原料は、大豆とエンドウ豆を使用
スチームコンベクションオーブンで調理したハンバーグ。試食したところ、箸をいれた時の固さは独特だが、味は植物肉だと言われなければわからないおいしさと感じた。植物肉の原料は、大豆とエンドウ豆を使用

 Green Meatは、高度な生成技術や繊細な調味を強みとしている。2020年10月に行われた食品展示会「ウェルネスライフジャパン2020」にて試食者の95%から「おいしい」との評価を得たことをきっかけに開発に自信がつき、ベジタリアンやヴィーガンだけでなくより広く普及を目指すことを考え始めたという。

 今回の調達資金により、営業人員の採用拡大・開発体制の強化・広告宣伝・ITシステムの整備等を行っていくとしている。

亀田製菓がなぜ植物肉か--「味付けに自信」

 オイシックス・ラ・大地は、今回の取り組みにより同社が推進しているサステナブルリテール戦略の中で、植物肉関連事業をポートフォリオの中に組み込むことが可能になる。

 また、昨今の健康意識や環境問題への関心の高まりから需要が増加傾向にある植物肉の開発やマーケティングへの関わりを通じ、新たにフードテックカンパニーとしての価値を確立する狙いがある。

オイシックス・ラ・大地とグリーンカルチャーのシナジー
オイシックス・ラ・大地とグリーンカルチャーのシナジー

 今回の引受先の中で、意外に思えるのが亀田製菓だろう。せんべいを中心とした製菓業で知られる同社がなぜ植物肉なのか。

 実は、亀田製菓グループは、グローバル・フード・カンパニーの実現に向けた中期経営計画を打ち出し、“あられ、おせんべいの製菓業”から“Better For You の食品業”への転換を図っている最中だ。

 「日本の菓子業界のマーケットは、ここ数年横ばいから若干のプラス傾向にあるが、日本の人口の減少に伴い、7~8年先には今の規模から10%ダウンすると試算しており、危機感を持っている」(亀田製菓 代表取締役CEOの田中通泰氏)。

亀田製菓グループが目指す姿
亀田製菓グループが目指す姿

 そうした中、新たに“Better For You食品”(素材本来の栄養素で、カラダの中から健康にする)という、美味しく健康価値ある商品を提供するビジョンを目指し、2019年には「玄米パン」や「ベジタリアンミート」を展開するマイセン(福井県)を買収している。

 田中氏は、コロナ禍の前は米国などで植物肉のハンバーガーなどさまざまな代替肉を試食してきたという。「味や食感など、われわれの目からするとまだまだ改良する余地があると思う。米菓作りで得た味と食感のノウハウを生かしていける。おせんべいのハッピーターンでもBBQ味を出すなど、味の研究をしており、味付けにはある程度の自信を持っている。一緒に手を携えて事業を成長させていきたい」と話した。

持続的発展に向けた取り組み
持続的発展に向けた取り組み

 金田氏は、今回の資金調達にあたって当初は苦労したと明かす。「投資家や企業と話をする中で、植物肉の価値や植物肉が一般化した世の中のビジョンに対してなかなか理解いただけなかった。粘り強く交渉をし、今回の4社は弊社にとってもっとも望ましい投資家構成だと思う」と語った。

亀田製菓 代表取締役CEOの田中通泰氏、グリーンカルチャー 代表取締役の金田郷史氏、オイシックス・ラ・大地 取締役の松本浩平氏
亀田製菓 代表取締役CEOの田中通泰氏、グリーンカルチャー 代表取締役の金田郷史氏、オイシックス・ラ・大地 取締役の松本浩平氏

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