空き家をリノベして再生する「アキサポ」が全国展開へ

加納恵 (編集部)2021年06月30日 08時30分
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 ジェクトワンは、空き家活用事業「アキサポ」の全国展開として、各地の空き家事業者と提携する「アキサポネット」を本格始動すると発表した。日本全国の空き家問題の解決に取り組んでいく。

「アキサポネット」
「アキサポネット」

 アキサポは、不動産の売買、賃貸、仲介などを手掛けるジェクトワンが、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」を機に、2016年に首都圏を中心に開始。空き家を借り受け、アキサポが全額費用を負担してリノベーションし、一定期間転借するサービスが特長で、ジェクトワン 代表取締役の大河幹男氏は「空き家の所有者は、使っていなかった家を改修できる上、定期借家契約終了後は手元に戻る。愛着ある自宅を手放さず、一定期間活用して手元に戻せる」とメリットを説明する。

 すでに、個人向けサービスとして展開しているほか、企業の社宅や公民館、学校施設などの空き物件を、オフィスや店舗などに改修してきた実績も持つ。

 アキサポネットでは、ジェクトワンが5年かけて蓄積してきた空き家再生のノウハウを加盟店向けに公開、サポートすることで、全国の空き家問題を解決していくことが狙い。加盟店は、不動産会社や工務店などから募り、ライセンス契約を結ぶことで、アキサポネットメンバーとして提携する。

「アキサポネット」概要
「アキサポネット」概要

 すでに、石川県金沢市で建設業、不動産業を手掛けるノスタルジックカンパニーや大阪府枚方市で介護予防事業を展開するLICOS(リコス)、大阪府大阪市で事業用不動産賃貸、売買仲介を担うベイサイドリアルター、京都府京都市で不動産管理、宿泊施設運営を営むトマルバが加盟事業者として加わっている。

 発表会では、ノスタルジックカンパニー 寺嶋直美氏、池内真紀子氏とLICOS 猪股賢氏を迎えトークセッションも実施。モデレーターはジェクトワン 地域コミュニティ事業部シニアマネージャーの印南俊祐氏が務めた。

 印南氏が各地の空き家事情について尋ねると池内氏は「金沢の特長はひがし茶屋街や武家屋敷など、風情のある建物が残っているところ。一方で再開発によって近代的な建物も増え、新旧が共存している。空き家率は全国平均程度。郊外に新築の家が建つ中、町中は敷地や道路などが狭く開発しづらいことが要因となって、空き家率が高くなっている」と現状を話した。

 大河氏が「アキサポのウェブサイトでは関西の方の閲覧も多い。空き家に対しての認識は」と問うと、猪股氏は「アキサポについては無料で活用できる点が良いというお話をいただいた。この点は評価を得られているようで問い合わせも多い」と返答。周囲には、戦前に建てられた連棟長屋など古い物件が多く、貸しにくいといった課題もあるとした。

 次に加盟に至った経緯について聞くと、池内氏は「元々は店舗などのリノベーションがメインだったが、物件探しからお客様のお手伝いができればもっといいと思い、4年前に不動産業を始めた。これによって物件探しからリノベーションまでワンストップで提供できる環境を整えた。当初から街巡りをしたいと思えるタウンづくりをしたいという“野望”があり(笑)、空き家が増える地域にリノベーションした住居や店舗を作ることで、元気がなくなっている街をたのしいところにしたいと考えた」とコメント。

 空き家事業の第1弾として、自社で購入しリノベーションしたという宿泊施設「besso片山津温泉」をオープンしたという。

 一方、LICOSの猪股氏は「空き家事業を手掛けるきっかけは高齢者の住み替え問題。施設に入所して自宅に帰る予定がない、足を骨折して入院し、その後自宅に戻ったが、枚方市は坂や丘が多く、買い物が不便になってしまったなど、高齢者は施設に入所するか、不便ながらも今の家に住むかの二択しかない。賃貸住宅を借りたくても借りられない現状もあり、空き家事業を推進していきたいと思った」と介護予防事業を担うLICOSならではの事情を明かした。

 「現状では、空き家として朽ちていくか、売買に踏み切るしかない」(猪股氏)、「どんな不動産でも売るか壊すかの選択肢しかない」(寺嶋氏)という空き家の現状に対し、大河氏は「活用の選択肢の幅が広がればいいこと。第3の選択肢としてアキサポを活用したい」とした。

 大河氏は「リノベーションして新たに貸し出すことが良い空き家もあるが、トランクルームに変えるほうが良いこともある。アキサポでは現地に出向き、空き家周辺の方にヒアリングをして、最もその場所に合った活用方法を見つける。そういう意味でやっていることはアナログ。地域にあったものに空き家を再生できるのはアキサポならではの強みだと思う」とコメントした。

 今後は、全国の空き家を活性化させ、不動産市場の流通に乗せていくのが空き家活用のゴールと見据え、3年後を目途に、アキサポネット加盟事業者を全国各地に70社以上展開することを目指す。

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