英国のニュース番組「ITV News」の報道によると、Amazonは同国内に構える倉庫の1つで、返送された商品や売れ残り品など毎週10万点以上を廃棄しているという。この報道の中で、Amazonの倉庫に勤務していた匿名の元従業員が取材に応じており、スコットランドのグラスゴー近郊にあるフルフィルメントセンターで、1週間に約13万点の商品が廃棄されていたと証言している。倉庫内部の映像には、工場の「破壊ゾーン」に向かうとされるカートの中に、電動ドリル、本、フェイスマスクなどが元のパッケージのまま入っている様子が映っていた。
「Dysonの扇風機、Hooverの掃除機、時には『MacBook』や『iPad』など、破壊されるものには理由も何もない」と元従業員は述べた。
破壊される商品の中には、サードパーティーの販売業者の商品も含まれる。業者らは、Amazonのマーケットプレイスにアイテムを出品し、発送センターでアイテムを保管する費用を同社に支払っている。ITV Newsによると、販売業者によっては、商品が長期間売れ残ると、保管するより廃棄した方が低コストとなる場合があり、Amazonが商品の破棄に至る可能性がある。寄付に回される商品も一部あるという。
この報道と時を同じくして、Amazonは6月21~22日に開催した年に1度の大セール「Prime Day(プライムデー)」をアピールしていた。人気商品を割引するイベントで、例年売り上げを押し上げている。環境活動家らやAmazonの一部の従業員は同社に対し、カーボンフットプリントの削減を求めてきた。Amazonは2019年に「The Climate Pledge」(気候変動対策に関する誓約)を発表し、その中で2040年までに事業全体でCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、他の企業にも同様の行動を起こすよう呼びかけた。2020年1月には、気候変動への対応をめぐるAmazonの慣行に抗議して、約350人の従業員が実名でコメントを発表した。2020年6月、AmazonはCO2排出量の問題に対処するために20億ドル(当時のレートで約2100億円)の投資ファンドを立ち上げた。
AmazonはITVの取材に対し、破壊された商品が英国の埋め立て地に送られている事実はないと述べた。Amazonの広報担当者は、商品の廃棄をゼロにする目標に向けて同社は取り組んでいるとして、次のように述べた。「当社は、売れ残った商品があれば再販するか、慈善団体に寄付するか、またはリサイクルすることを優先している」「最終手段として、商品をエネルギー回収に回すこともあるが、そのように処分する件数をゼロまで減らすよう尽力している」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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