2021年のスマートフォン出荷台数は世界全体で12%増加して14億台となる見込みだが、部品不足が業界の足かせとなり、小売価格上昇につながる可能性があるという。市場分析会社Canalysがレポートを公開した。
2020年には新型コロナウイルスの影響で低調だったスマートフォン出荷は、2021年に入って回復基調にあるものの、部品の供給不足が年内の成長にブレーキをかけそうだとCanalysはみている。世界中でいまだにチップが思うように調達できず、これがスマートフォンや自動車などあらゆる業界に影響を及ぼしている。市場分析会社のGartnerはこの半導体不足について、2022年に入っても続くと予測している。
CanalysのリサーチマネージャーBen Stanton氏は、「受注残が積み上がっている」として、「業界では半導体の奪い合いが起きており、どのブランドも危機感を持つだろう」と述べた。
これが新たな問題を生む。Canalysによると、チップセットやメモリーといった重要な部品の価格が上昇するため、スマートフォンベンダーはそのコスト増加分を、自社で負担するか、小売価格に転嫁するかを決断しなければならなくなる。LTEチップセットは供給が大きく不足しているため、消費者が特に価格を気にしているローエンド製品で課題になるという。
それでも、世界中で5Gの導入が加速する中、5Gスマートフォンの需要が高まっているようだ。
第1四半期は世界出荷台数の37%を5G対応端末が占めており、通年では43%、総計6億1000万台にのぼると予想されている。
「こうした傾向は、ベンダー間の激しい価格競争によってますます加速する。できる限り低価格のデバイスを5Gに対応させるため、多くのベンダーがディスプレイや電源などの機能を犠牲にしている。2021年末までに、出荷される全ての5G対応デバイスの32%が300ドル(訳注:約3万3000円)以下になるだろう。一気に普及が進む時期だ」(Stanton氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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