メルカリの研究開発組織「mercari R4D」は5月31日、「量子インターネットタスクフォース」(Quantum Internet Task Force:QITF)を産学連携コンソーシアムとして共同で設立したと発表した。
量子インターネットは、量子信号中継機能を持ち、量子データを広域で安定的に送受信することを目的とするシステム。QITFは、量子インターネット領域における日本中の研究者・開発者を組成して研究開発に取り組み、量子インターネットの実現と標準化、社会へのコミットメントを目指し2019年5月に任意団体として設立。研究活動を行うとともに、コンソーシアム化の準備を進めていたという。
ボードメンバーは、大阪大学助教の生田力三氏、沖縄科学技術大学院大学准教授の高橋優樹氏、慶應義塾大学特任講師の佐藤貴彦氏、情報通信研究機構研究員の逵本吉朗氏、東京大学講師の佐々木寿彦氏、国際基督教大学准教授の山崎歴舟氏、横浜国立大学准教授の堀切智之氏、横浜国立大学助教関口雄平氏。また、メルカリでシニアリサーチャーを務める永山翔太氏(ファウンダー)が名を連ねる。
アドバイザリーボードとして、大阪大学教授の山本俊氏、慶應義塾大学教授のRodney Van Meter氏、慶應義塾大学教授の村井純氏、国立情報学研究所教授の根本香絵氏、東京大学特命教授/大阪大学名誉教授の井元信之氏、横浜国立大学教授の小坂英男氏が参加する。
事務局は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに設置され、同大学環境情報学部教授のRodney Van Meter氏が統括。スタッフは、大阪大学、沖縄科学技術大学院大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、国立情報学研究所、情報通信研究機構、東京大学、日本大学、北海道大学、メルカリ、横浜国立大学、早稲田大学から、あわせて約30名のスタッフが参画しているという。
同社によると、これまでの研究により、広域・遠隔環境での分散量子計算、攻撃不可能な通信セキュリティ、プライバシー保護されたデータ処理、超高精度時刻同期、高精度宇宙望遠鏡など、社会や科学の発展に大きく貢献するアプリケーションが量子インターネットによって実現できるという。また、量子データの汎用通信基盤として、量子トランスフォーメーションや量子前提社会に不可欠な社会インフラとなると予測している。
今後は、研究開発コンソーシアムとしてさらなる成果を目指し、本格的な量子技術時代におけるコンピュータネットワーク基盤を担う量子インターネットに関する研究開発を推進。mercari R4Dでは、量子インターネットアーキテクチャや通信プロトコルなどの研究に取り組み、次世代のインターネットの実現を目指して、QITFの活動に貢献していくという。
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