Amazonが「007」や「ロッキー」シリーズなどで知られる米映画会社MGMを84億5000万ドル(約9200億円)で買収すると発表した。この買収により、AmazonはMGMの長い歴史の中で生まれた名作を利用して「Amazon Prime Video」を拡充し、傘下のオリジナル番組制作会社Amazon Studiosも強化できることになる。
Amazonはこの買収の狙いについて、MGMの持つ知的財産を挙げ、それらの素晴らしい作品群を新しいコンテンツの制作に活用できると述べている。
Amazonにとって、MGMの買収は米高級食料品チェーンWhole Foodsの買収に次ぐ大型買収となる。同社は2017年にWhole Foodsを137億ドル(約1兆5000億円)で買収していた。
MGMは、映画以外にテレビ番組の制作も手がけ、有名なものではHuluで配信された「A Handmaid's Tale」や、FXで放映された「FARGO」などを制作した実績がある(制作会社が、自社と資本関係のない配信サービスやネットワークのために番組を制作するのは特に珍しいことではない)。MGMはまた、ケーブルテレビネットワークおよびアプリの「Epix」も運営している。
MGMは数カ月前から身売りを模索しており、今回のAmazonとMGMの合意につながった交渉の進捗が、これまでに複数の報道機関で報じられていた。
AmazonがMGMを買収しても、必ずしもMGMの新作映画がAmazon Prime Videoで独占配信されるようになるとは限らない。また、吠えるライオンのオープニングロゴで知られるMGMの大量の名作映画が自動的にPrime Videoに追加されるわけでもない。Amazonは、MGMの作品ライブラリーや、Prime Videoやそれ以外の場所でのそれらのコンテンツの提供についてコメントを控えた。この買収の背景には、かつてないほど動画配信サービスの人気が高まっており、競争が激しくなっている状況がある。例えば、「Apple TV+」「Disney+」「HBO Max」「Peacock」など、Prime VideoやNetflixに対抗するさまざまなサービスが過去1年間に立ち上がった。また、動画配信サービス各社の競争激化に伴い、メディア企業の統合も相次いでいる。例えば、DisneyはFoxを買収し、ViacomとCBSは合併し、AT&TはTime Warnerを買収した(AT&Tは最近になって、WarnerMediaと改称したこのメディア事業をDiscoveryに売却することにした)。MGMは、そうした企業統合の流れから取り残された格好だった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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