グーグルのAI、患部の写真から皮膚病の判定を支援

Asha Barbaschow (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2021年05月20日 14時07分

 Googleは年次開発者会議「Google I/O」で、人工知能(AI)を活用した2つの成果を発表した。1つ目の皮膚病判定支援ツールは、ユーザーが皮膚、髪、爪などの問題を理解できるように支援するもの。

 このAI搭載の皮膚病判定支援ツールは、同会議でプレビュー版が公開され、2021年後半に試験運用が行われる計画だ。ウェブベースのアプリケーションで、皮膚科医が監修した情報とよくある質問に対する回答、そしてウェブ上の類似した画像を表示して、ユーザーが皮膚の異常を調べられるようにする。

 ユーザーはスマートフォンのカメラを使い、肌や髪、爪などの気になる患部を、異なる角度から3枚撮影する。

 「そして肌タイプ、発生期間、その他の症状などについて回答し、可能性のある疾患をツールが絞り込めるようにする」と同社はブログ記事で説明した。

Googleの皮膚病判定支援ツール
提供:Google

 「AIモデルがそれらの情報を分析し、カバーしている228の疾患の中から、一致する可能性がある症例の一覧を表示するので、ユーザーはさらに詳しく調べることができる」(同社)

 一方、「このツールは、診断や医師による助言の代替を提供するのが目的ではない。多くの疾患は、臨床医の検査や対面での診察、または生検などの追加検査が必要だ」と注意を促している。「むしろ、より多くの情報に基づいて、次なるステップの意思決定ができるように、信頼できる情報を提供したいと考えている」(同社)

 同社によると、このツールは3年以上に及ぶ機械学習の研究と製品開発の成果だという。

 AIを活用したもう1つの取り組みは、やがて結核のスクリーニング支援に役立つかもしれない研究だ

 Googleによれば、結核の感染者数は年間1000万人に上り、その影響を受けるのは低・中所得国の人々に偏っている。

 「コスト効率に優れた結核スクリーニングとして、胸部レントゲン検査があり、スクリーニングプロセスを改善できる1つの方法だと考えられている。しかし、レントゲン結果を判定できる専門家がいつもいるとは限らない」とGoogleは述べた。

 「早期診断を行い、最終的には撲滅できるように、Googleの研究者はAIベースのツールを開発した。当社の医療用画像に関する既存の研究を基にしたもので、結核の可能性がある患者を特定し、フォローアップの検査を受けられるように支援する」(同社)

 Googleによると、「適切な」深層学習システムを使用すれば、胸部レントゲンを基に、活動性結核の可能性が高い患者を正確に特定できる。また同社の調査から、このAI搭載スクリーニングツールをより高額な診断テストに先立ち、予備的ステップとして使用することで、検出される陽性の結核1件当たりのコストを最大80%削減できることが明らかになったという。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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