フォースタートアップスは5月14日、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2021年1月から4月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング」を発表した。
それによると、QRコードマルチ決済ゲートウェイ「StarPay」を運営するネットスターズが66億円を調達し、3位にランクインした。また、TBM、INFORICH、ファンズ、スタディスト、ZEALS、FSXが10億円を超える資金調達を新たに実施。これにより、新規ランクイン企業は7社となった。
2009年2月に設立されたネットスターズは、国内外の主要なQRコード決済を一括導入できるマルチ決済ゲートウェイ「StarPay」を提供。4月時点で、国内に28万カ所以上設置されており、PayPay、LINE Pay、AliPay、WeChatPay、VIAなどを含む37の決済ブランドが使用可能となっている。
ネットスターズは4月に、グローバル資産運用会社KKRが運用するファンドからの40億円の拠出をはじめ、LUN Partnersからの追加出資、Susquehanna International Groupから累計で66億円を調達。今後はStarPayの日本におけるQR決済の加盟店の獲得増を目指すとともに、2021年中に海外金融機関と連携し、海外でのマルチ決済ゲートウェイサービス(複数のQRコード決済と複数の共通ポイントをまとめて導入できるサービス)の提供を開始する予定。
5位のTBMは、炭酸カルシウムなどの無機物を主原料とする新素材「LIMEX」の開発・製造・販売を手がけている。4月には、南都銀行を幹事行に、地方銀行10行によるシンジケートローンおよび、政府系金融機関からの資本性ローンの協調融資により総額36億2000万円の長期融資契約を締結。
加えて、東京建物、ブリヂストン、神奈川県葉山町と連携。プラスチック資源循環に向けた、オフィスや一般家庭から排出される廃プラスチックのマテリアルリサイクルを推進している。Bioworks、AnyMind Groupともパートナーシップを組み、インフルエンサーとのコラボレーション製品をECサイト「ZAIMA」で展開するなど、持続可能な循環型イノベーションを目指した取り組みを進めている。
12位にランクインした、モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を提供するINFORICHは、4月16日に地銀系VCなどから23億円の資金調達を発表。引受先は、ひろぎんキャピタルパートナーズ、ピー・アンド・イー・ディレクションズ、ベンチャーラボインベストメント、南都キャピタルパートナーズ、日本国際経済開発機構などが参画。これまでの累計資金調達額は、97億7300万円となっている。
モバイルバッテリーシェアリングのChargeSPOTは、2018年4月のローンチからわずか1年で日本全国47都道府県に広がり、グローバルでも香港、タイ、台湾とエリアを拡大。2021年内に5万台、2022年に8万台、2023年に10万台のバッテリースタンドを設置する予定で、日常生活に必要不可欠な生活インフラ化を目指している。
資金調達金額ランキングのランクイン企業の設立日と、設立からの累計調達金額では、先月同様にPaidyが、累計634億8500万円の調達でトップとなった。次いで、ディーカレット、TBMが名を連ねる。設立5年以内のスタートアップは、ディーカレット、Legal Force、日本共創プラットフォーム、ファンズ、GITAI Japanの5社で、全社が20億円以上を調達している。
2016年11月に設立したファンズは、個人が1円単位から企業への貸付投資を行えるオンラインプラットフォーム「Funds」を運営。サイバーエージェントに入社後、2007年にマーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年上場企業に売却した経歴を持つ藤田雄一郎氏が代表を務めている。3月末時点では、上場企業を中心とした29社が組成する73本の貸付ファンドを募集し、分配遅延・貸し倒れは0件だという。
4月27日には、既存株主のグローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、AGキャピタルに加え、新規でANRI、日本郵政キャピタル、メルペイなどを引受先としたシリーズCラウンドにおける第三者割当増資により、総額約20億円の資金調達を実施。調達した資金は、ファンド募集拡大、サービス拡充、コンプライアンス体制強化を目指し、人員体制の増強および、認知向上を目的としたマーケティング活動などに充当する方針。
同社では、5月6日時点での「国内スタートアップ想定時価総額ランキング」も発表している。なお、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。
それによると、後払い決済サービス「Paidy」を提供するPaidyがユニコーン企業入りした。想定時価総額は、先月の712億円の2倍以上となる1439億円に増加。順位も先月の12位から3位へと浮上している。今回の大幅ランクアップは、同社が先月に発表した総額約132億円(1億2000万ドル)の資金調達と、登記簿から確認した株式取得価額の上昇が影響しているという。
Mobility Technologiesの想定時価総額も1000億円を突破した。登記簿から4月における約100億円の調達を新たに確認。順位に変動はなかったものの、想定時価総額を先月の993億円から100億円伸ばし、1000億円超えとなっている。2020年7月にNTTドコモが100億円を出資しており、その際にキャピタルコール行使などによる追加出資を示唆していた。今回の100億円の調達は、キャピタルコール行使によるものだと推測され、Mobility Technologiesの想定時価総額の増加につながっている。
4月時点で想定時価総額が1000億円を超えるユニコーン企業の数は10社となった。このほかにも、Spiber、ビットキー、エクサウィザーズが先月から想定時価総額を伸ばしている。
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