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DeNAが経営参画するJ2「SC相模原」の未来像--創設者で元日本代表の望月重良氏らに聞く - (page 2)

佐藤和也 (編集部) 藤井涼 (編集部)2021年04月30日 08時30分
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「サッカー参入の検討は自然な流れ」--DeNAが考えるスポーツビジネス

――ここからは西谷さんにも加わっていただき、DeNAのサッカー参入などについてもお話を伺います。そもそもDeNAとして、サッカーの参入はどのぐらいの時期から検討されていたのでしょうか。

西谷氏: まずDeNAとしてのスポーツ事業は、プロ野球参入があってベイスターズの運営から始まり、後に横浜スタジアムとの一体経営といったこともあったなかで、事業が順調に推移していきました。そしてバスケットボールにも参入して、早い段階で集客力の向上を図ることができ、川崎ブレイブサンダースはBリーグのなかでも人気クラブの立ち位置になってきました。

 ベイスターズでのノウハウや成功モデルを、必要に応じて展開していくことに手ごたえを感じていたので、次は日本においてもインパクトの大きなスポーツというとサッカーであると。グローバルに愛されている競技のひとつですので、サッカーへの参入を検討するのは自然な流れでした。なので、検討を開始した明確なタイミングというのはないのですけど、話としては2年以上前から挙がっていました。

 参入にあたってはさまざまな可能性を検討しました。グローバルに人気があるスポーツですから、海外でスタートすることも含めて幅広く考えていた時期もありました。ただ、競技も違えば地域も違うとなると、ビジネスとしての不確実性が高くなるので、サッカーだとしても国内からスタートするべきという方向性になりました。そこからさらに検討していくなかで、望月さんとお会いする機会があったということになります。

――ちなみに、望月さんはDeNAについて、どのようなイメージをお持ちでしたか。

望月氏: やはりベイスターズですね。ITやゲームの会社というイメージが強いのかもしれませんが、僕個人としては、長い歴史のある球団を買収して急成長させ、様変わりさせたというイメージがあって。スポーツビジネスにおいてはトップクラスの企業だという印象を持ってました。

――西谷さんは、SC相模原にどのようなイメージをお持ちでしたか。

西谷氏: 比較的新しいクラブであることですね。Jリーグのチームも増えてますけど、県3部からスタートしているところは少ないです。さらに企業スポーツの延長から発展したところも多いのですが、本当にゼロから立ち上げて、着実にステップアップしている印象を持ってます。相模原市についても、政令都市で人口も多いなかで今後も発展が望まれる地域ですし、新スタジアムの建設についても具体的に検討しているとあって、ポテンシャルが高いと感じました。

――DeNAがスポーツ事業を展開しているなかで、重要視している要素となるものはありますか。

西谷氏: クラブによって目的が違うことは前提としてありますけど、純粋にスポーツチーム単体として事業を進めるとしたならば、その地域に人口や経済力など一定以上のパワーが必要だと思います。そしてそれ以上に、そのスポーツチームが存在することの意義も含めて、本当に必要とされている場所なのか、ですね。私たちの考えとして、地域の方に喜ばれて、スタジアムに足を運んでもらえる力があること。集客力やブランド力が重要になると思います。そのコンテンツパワーをより大きくしていくことが、我々としてのファーストステップです。

――DeNAとして、SC相模原に役立つところというのは、どういったところになるでしょうか。

西谷氏: おそらくみなさんが期待されていることは、集客力や発信力の強化を強く求められていると感じています。実際これまでもクラブとして新しい取り組みも行っているのですけど、その取り組みが一貫性を欠いていたり、振り返りがなくて続かないこともあるので、一元的な戦略として整えて、改善するものは改善すると。取り組みをより質が高く、成果が挙げられるものにしていくということは、私たちが得意なことだと思います。

――パートナーシップの形はさまざまなあるなかで、資本まで踏み込んだ提携とした理由はありますか。

望月氏: お話した段階ではJ3だったのですけど、その期間が長くマンネリ感もあったのです。カテゴリーを上げるのもそうですけど、次の一手を求めてました。これからクラブや地域の将来を考える上でも、大手企業の方に参画していただくことは、事業規模を大きくしていくこと、なによりJ2とJ1に向かうことも考えたら、非常に理想的なパートナーだと感じました。経営にも参画していただくことで、お互いの強みを出しつつ、スポーツビジネスの熟知した知見をクラブに入れていただいて、クラブがより発展していく形がとれればいいと思ってます。

――実際に取り組まれて、DeNAさんらしいと感じるところはありますか。

望月氏: まだ日は浅いですが、数字に厳しいですね(笑)。でも、きっちりと細かいところまで詰めて見てくださっているので、安心しています。

西谷氏: SC相模原はJ3のシーズンが長かったこともあったので、ある程度決まったルーティンでの事業計画や数字の感覚になっていたと気づいたのです。今はJ2というのもあるのですが、DeNAとしてもスポーツチームの数字や事業計画含めて細かく管理し、計画を立てて、その実績にたどり着いているのかを見ています。タイムリーに経営状況を理解できることは、次の投資なり対策を機動的に行うことができますので。

――技術活用、デジタル活用の観点から導入しようとしているものはありますか。

望月氏: 具体的なことはまだこれからですけど、サポーターのみなさんや、スタジアムに足を運んでくださるみなさんの利便性の向上や、ワクワクできるようなことを、デジタルを活用してできたらとは思っています。

西谷氏: あくまで技術は手段であって目的化してはいけないと思ってます。なので、技術先行としてなにかを導入することは考えていません。DeNAとしては、スポーツのコンテンツ力を生かして、賑わいのある街づくりをしていくというスタンスです。それに参画していくなかで、例えばスマートシティなども含めて取り組む部分は出てくる可能性はあるかと思います。

 一方で、デジタルマーケティングや分析、SNSの運用といったことは担っていきます。さらにチーム強化については、いきなり高額なサラリーの選手を加入させるといったことは難しいので、着実に育成して強化することになるかと。そのためにデジタルやAIを活用して、技術の力でパフォーマンスの管理をしていくことは、投資をかけて行うことになると考えています。このあたりはベイスターズでもやっていることですので。

――昨今ではJリーグ、ひいてはサッカーに限らずさまざまなプロスポーツにIT企業が参入している状況はありますが、参入することのメリットをどのように感じていますか。

西谷氏: プロ野球に参入する段階では、そこまで事業として収益上の意義を持っていなかったと思います。ただ、IT系の企業は総じて企業年数が若いですし、社会的にまだまだ新しい産業です。そのなかで、社会から一定の信用や信頼を得ることに効果的だと思います。特に日本においてはプロ野球の歴史が長いですし、国民的なスポーツでみなさんの関心事です。しかもプロ野球は12チームしかないなかで、そのうちのひとつを新興の産業であるIT企業が持つことは、世の中のみなさまに認めていただくステップとして、非常に有効だと感じています。その流れがサッカーにもあると思います。

 もうひとつ、参入障壁が高い事業体であったと思うので、アップデートがIT産業と比べると、そこまで及んでなかった事業領域だと思います。IT産業はかなり早いスピードでアップデートが行われます。特にインターネットビジネスでは、ユーザーの方々の動きがログとして残って、上手くいっている施策や課題が可視化されてわかりやすいですし、数字化したり言語化することに長けていて、PDCAサイクルをまわすということは普通に行われます。デジタルではない領域だと、肌感覚で行われて深堀ができていなかったところもあると思いますので、IT企業が入ることでスポーツビジネスの成長にも貢献できると感じています。

――最後に、SC相模原の今後、そして未来像をお話いただけますか。

望月氏: 14年前にゼロから立ち上げたローカルクラブがJ2に昇格したことは、歴史的なことであると思ってます。目下のところはJ2の残留というのが正直なところですけど、この先カテゴリを上げていくこともそうですし、クラブを大きくして、いろんな方から支えてもらえるチームに育てていくこと。DeNAさんとともにメジャークラブにしていくことですね。

 地域としてもポテンシャルは十分にありますし、検討されている新スタジアムも理想的な形でできたとしたならば、アジアを代表するクラブになる可能性は十分にあります。それにJリーグのクラブ、しいてはサッカー界における勢力の図式は目まぐるしく変わっています。今はJ2に上がりたてのクラブですが、10年後にはビッグクラブになっている可能性もありえますので。なんとかそこにたどり着けるように成長させていきます。

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