顔認証入退室管理や監視カメラ、AI画像解析などのセキュリティソリューションを提供するセキュアは、小学館のDIME編集部、丸善ジュンク堂書店とともに、未来型AI無人店舗「DIME LOUNGE STORE」を、4月15日午前10時に、東京・西新宿の新宿住友ビル地下1階にオープンする。
「未来の買い物体験ができる無人型AI 店舗」をコンセプトにした実証実験店舗で、店内には、DIME誌が独自で企画した財布や定期入れ、シャツなど、20種類以上のオリジナル商品を展示。顔認証によって、手ぶらで決済ができる無人店舗として運営する。展示する商品も、1~2カ月単位で変更する。
小学館 DIME統括編集長の安田典人氏は、「DIMEでは、約20年前からオリジナル商品を開発し、読者を対象に、通販やウェブ販売を行ってきたが、実際の商品を見ることができる場所が欲しいという声が多かった。DIMEは2021年、創刊35周年を迎えた。その記念企画のひとつとして、最先端の技術を活用した無人店舗で、商品展示と販売を行うことを決めた。DIMEオリジナル商品を展示し、直接触れてもらえる場を作ったのは初めてのことになる」と語る。
店舗に初めて入店する際に、入口の認証機で、ユーザー情報とともに顔情報を登録。一度、顔情報を登録すれば、入店ゲートのカメラで顔認証するだけで入店できる。入店後は、棚から買いたい商品を手に取ればいい。手に取ったことをセンサーやカメラで判断。棚の上部に設置されたディスプレイには、その商品に関する情報をリアルタイムに表示し、画面をスクロールすれば詳しい情報を見ることができる。DIMEの最新刊も用意されており、本誌を手に取れば、内容の一部がディスプレイに表示される。
来店者は事前登録を済ませておけば、クレジットカードによる決済が可能であり、購入したい商品を手に持って、そのまま退店ゲートに進み、退店ゲートのカメラで顔認証を行うことで決済が完了する。
店内には、AI顔認証システムや入退室管理システム、監視カメラシステム、画像解析ソリューションなどの最新AIを活用。15台のカメラや重量センサー、タッチ式サイネージを設置して、来店者の行動を捉え、手に取った商品や、棚に戻した商品などを把握。これをもとに決済を行うほか、行動履歴をもとにした分析も可能だ。たとえば、カメラからの情報をもとに、来店者の動線分析や表情分析のほか、手に取ったが買われなかった商品はなにか、商品がどれくらい手に取られているか、サイネージをタッチした回数をもとにした商品への関心度の把握といった、これまでPOSデータでは把握できなかったデータを見える化できる。
また、離れた場所でも在庫情報を確認することができ、迅速に展示品を補充して、欠品を減らし、販売機会の損失を防ぐこともできる。
安田統括編集長は、「DIMEの読者に対して、最新技術を活用した『魔法』のような場を提供できることに加えて、購買動向や購入者の属性などを把握することで、今後のオリジナル商品の開発にも生かすことができるだろう。無人店舗では、どれぐらいの価格帯の商品が売れ筋になるのかということを把握して、記事に反映することもできる。雑誌ブランドのプロデュース力を生かした商品づくりによって、書店の売上げ増に貢献することも目指したい」とし、「これをきっかけに、グルメ雑誌がプロデュースした調味料、幼児雑誌がプロデュースした知育玩具、美容雑誌がプロデュースしたコスメなどが書店で販売されるきっかけをつくり、出版文化を盛り上げたい」などとした。
また、丸善ジュンク堂書店 経営企画部の工藤淳也氏は、「不況が続く出版業界の変革が求められるなか、書店においては、文具や雑貨の販売増にも取り組んでいる。多くのファンを抱えている人気雑誌と、物販においてコラボレーションができないかという狙いがある。また、書店のDXは、業務効率化だけでなく、データをもとに顧客への価値向上を実現することが大切である。今回の取り組みによって、データをもとにした店舗づくりを進めるための第一歩にしたい」と述べた。
DIMEのオリジナル商品の販売状況などを見ながら、小学館のほかの編集部が持つオリジナル商品などの販売も検討していくことになるという。
DIME LOUNGE STOREの開店時間は、午前10時~午後7時まで。定休日は、水曜、土日、祝日。水曜日を定休日としているのは、関係者が平日に見学ができるようにするためだ。期間は2021年12月末までを予定している。
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