セキュアでは、2020年7月から、同じ場所を使って、「SECURE AI STORE LAB」として無人店舗の実証実験を行ってきた経緯がある。
アイスタイルグループのコスメブランド「@cosme nippon(アットコスメニッポン)」の商品を販売。これによって、知見やノウハウを蓄積。マスク着用のまま顔認証で入店、決済、退店ができるように進化させたり、電子値札を設置して、QRコードを表示。スマホで読み取ることで、口コミ情報を表示したり、ECサイトに誘導するといった取り組みも行ってきた。また、コロナ禍においては、体温の異常検知や、最大4人までの入店人数制限などの機能も効果があったという。
今回の新店舗へのリニューアルでも、こうした基本的な仕組みは踏襲。その上で、不正侵入時のアラート表示機能などを強化している。
セキュア 取締役の平本洋輔氏は、「9カ月間の実証実験では、無人店舗運営の可能性に手応えを得る一方で、初めて来店するユーザーに対するインターフェースの改善などの課題も浮き彫りになった。また、DIME LOUNGE STOREでは、これまで常駐者を配置していたのとは異なり、完全無人で運営すること、商品の価格が高価になるため、AIによるセキュリティ対策を強化した」という。
不正侵入したり、商品の大量持ち出しなどがあったりした場合には、AIが検知して、不正侵入時の映像をサイネージに表示するとともに、Microsoft Teamsを活用して、管理者のスマホアプリなどに通知する。長時間滞在する人がいた場合にも検知するという。
セキュアでは、2021年4月に、博報堂プロダクツ、日本マイクロソフトとともに、「リテールDXコンソーシアム・ラボ」を発足したところであり、今回のDIME LOUNGE STOREは、同コンソーシアムの活動において、第1弾プロジェクトと位置づけられる。
セキュアの平本取締役は、「リテールDXコンソーシアム・ラボでは、リテール分野におけるDXの普及や推進を担い、最新テクノロジーを活用した実証実験やサービス実装につなげることを目的にしている」と語る。具体的な活動として、最新テクノロジーやトレンドの情報交換活動、国内外の⼩売事例に関する情報交換活動、活動内容に関する情報発信および広報活動、ワーキンググループ活動、実証実験やハッカソンなどの活動などに取り組むことになる。
セキュアでは、店舗設計や運用設計、店内の行動解析、アルゴリズム開発などを担当。博報堂プロダクツでは顧客体験設計や購買行動分析、ハードウェア導入支援などを行う。また、日本マイクロソフトでは、クラウド基盤としてMicrosoft Azureを提供。Azure Database for MySQLをはじめとしたPaaSの活用、Azure Machine Learning、HoloLensのほか、新たに発表したMicrosoft Meshを活用した提案も行うことになる。
2021年度中には、DIME LOUNGE STOREにおいて、一部ゾーンを利用したOMO(Online Merges with Offline)の実証実験を行うほか、実店舗でもゾーンによるOMOの運用を開始。2022年にはSECURE AI STORE LAB全体でのOMOの実証実験、実店舗でのOMOの実験にも取り組む予定だ。
また、今後、さまざまな技術を持った企業の参加を予定しており、リテール企業とテック企業のマッチング活動のほか、無人店舗やOMOといった新たな技術を活用した店舗づくりのリファレンスモデルの確立を目指す。
「2030年におけるリテールテックの市場規模は、現在の1.5倍となる8737億円が予測され、そのうち、支払・セルフレジ市場は210%増の2975億円に成長。無人店舗をはじめとしたAIを活用した業務支援市場は449%増の184億円が見込まれている。その背景には、少子高齢化による人手不足や、小売業界におけるデジタルシフトの加速などがある。しかし、さまざまなアルゴリズムが林立したAIのカオス化、AI人材の不足などにより、新たな技術が実装されにくいという状況がある。店舗は商品を売る場所から、体験を売る場所へとシフトしていくことになるが、AIやIoTなどの最新技術を導⼊するための課題が多いのが実態である。リテールDXコンソーシアム・ラボの活動を通じて、これらの課題を解決したい」と述べた。
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