“創作の街”を目指す--「note」が7周年、DMやインポート・エクスポート機能も実装へ

 noteは4月7日、コンテンツプラットフォーム「note」がサービス開始から7周年を迎えたのにあわせ、DMや新エディタなどの新機能や今後の戦略について発表した。

キャプション
note代表取締役CEOの加藤貞顕氏

 noteは、2014年の4月7日に開始されたコンテンツプラットフォーム。ブログのように文章や画像、動画、音声などのコンテンツを投稿して情報発信ができるほか、コンテンツの有料販売も可能だ。同社代表取締役CEOの加藤貞顕氏は、「最近、クリエーターエコノミーという言葉が世界的に使われはじめたように、様々なサービスがクリエーターの活動を支援する流れができている。noteは最初から一貫してそこに取り組んできた」と語る。

 この1年間では、会員登録者数が2021年3月時点で約380万に到達し、前年同月比1.8倍に伸びたと説明。総記事数も約1500万に到達し、前年同月比約2倍に増加。また、2020年1〜12月における年間投稿記事数で見ると、前年比で2.6倍という。さらに、note内でのリアクションである「スキ」の総数は3.1倍、年間サポート件数(=記事を応援してお金を払う機能が使われた回数)も2.9倍になるなど、記事以上に増えていることが強調された。

前年度比でユーザーが1.8倍に成長
前年度比でユーザーが1.8倍に成長

 そのほか、サブスクリプションとしての連載数が累計3200。「サークル」というコミュニティ開設数が4000件。ECサイトと連携するストア機能が使われるケースも8600件。そして、ハッシュタグ上で行われる企業協賛コンテストの開催数も47件まで伸びた。一方で、オフラインのイベントはあまり実施できなかったとしつつも、2020年4月〜2021年3月にかけてオンライン上でクリエーターを主役にしたイベントが100回以上実施したことが紹介された。

プラットフォーム内でのアクションも増えているという
プラットフォーム内でのアクションも増えているという

 ビジネス面では、法人向けに大きく3つのサービスを提供している。1つ目がオウンドメディアを構築するためのSaaS「note pro」の提供だ。2つ目が企業協賛コンテストの実施だ。クリエーター参加型の企画を開催することで、クリエーターには活躍の機会を、企業にはコミュニケーションの機会を増やす場を提供する。

 そして、3つ目が、ライブ配信によるオンラインイベントの開催だ。すでに100件以上のイベントを実施しており、ニューノーマルに最適化したイベント開催ノウハウを生かした協賛イベントの実施や、外部法人への貸し出し事業もスタートしている。

noteが展開する3つの法人向けビジネス
noteが展開する3つの法人向けビジネス

 noteでは2020年12月には文藝春秋と、2021年1月にはBASEとそれぞれ資本業務提携を締結。クリエーターの活躍の幅を広げるほか、B2Cビジネスを手がけるクリエーターのファン形成、集客、販売を支援する狙いがあるとしている。また今回、博報堂との業務提携の締結を発表。企業協賛コンテスト機会を増やしていき、エコシステムを活性化する狙いだ。

DM機能など今後搭載される可能性のある3機能

 noteでは開発中の新機能についても言及。リリースが確約されていないものを含みとしつつ、将来的に提供される可能性がある3機能を同社CXO深津貴之氏が紹介した。

 1つ目は、ページのレイアウト機能。ユーザーのマイページや、メディアのインデックスページなど、現状はレイアウトを数パターンしか選択できないが、クリエーターが投稿に適したフォーマットを柔軟に選択できるようにする。画像や記事のサムネイルなどを、大きく見せるなどすることで、メディア基盤として、柔軟な表現ができることを目指していくという。

柔軟なレイアウト構築イメージ
柔軟なレイアウト構築イメージ

 2つ目は、note内のDM機能。クリエーターや企業とのコミュニケーションを直接とれることで、仕事の発注などのやりとりを可能にするという。深津氏は「究極的には、DMを通じた決済まで到達できるようにしたい」と語った。

note内におけるDM機能イメージ
note内におけるDM機能イメージ

 そして3つ目が、新しいエディタの実装だ。こちらは2021年夏〜秋頃にアップデートされる予定。取り消し線や箇条書き、インデントなどの文章表現が可能になるほか、埋め込み機能も強化され、埋め込みコンテンツをドラッグアンドドロップで再配置できるようになる。また、マークダウン記法もサポートする。

表現の幅が広がったエディターのイメージ
表現の幅が広がったエディタのイメージ

noteは“創作の街”を目指す

 noteの今後について加藤氏は、「noteのミッションは、『だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。』で、クリエーターエコノミーを意識してずっとやったが、まだまだ一合目。これから先に目指すゴールは『創作の街』。あらゆる種類の人々がそれぞれのコミュニティで共存しているイメージになる。ネット上にクリエーターが本拠地を置くための場所として、noteを選んでもらえるようにしたい」と語った。

noteが目指すのは、「創作の街」というイメージだ
noteが目指すのは、「創作の街」というイメージだ

 深津氏は「noteは、単純に記事を書いて置くというサービスではなく、インターネット全体に良い価値観・意見を広めたり、知を集積していけるプラットフォームであるべきだと考えている。単純にデータを蓄積するだけではなく、どうやってクリエーターの“エコシステム”を作っていくかが重要。経済圏としての意味ではなくて、創作方法を学び、他の人と交流してチャンスを得る、キャリアを伸ばしていって、最終的にはプロフェッショナルになったりできるような、そういったクリエーターのライフスパン全体を支援していきたい。その象徴として“街”をイメージした」と話した。

 また、設計については、サービスドリブンでシンプルに行われていることが強調された。「クリエーターが集まることで、コンテンツが増えて、読者が集まる――。個別のKPIにフォーカスするのではなく、エコシステム全体がしっかりとつながって回転することを大事にしている」と深津氏は説明した。

noteのエコシステムのイメージ
noteのエコシステムのイメージ

 具体的な取り組みとしては、note自身が創作のためのノウハウや知識、心がけを積極的に配信していること。「Canva」との連携で、手軽に見出し画像を作れるようにしたこと。そして、パブリックドメインとして公開されている美術館の名画をnoteの見出し画像にできることなどが紹介された。

 安心して創作できる環境づくりとしては、セキュリティの強化を図る。4月7日には、新たに策定したコミュニティガイドラインも公開。また、誹謗中傷や炎上などを防ぐ工夫としては、コメント投稿時に、ポップアップで内容を確認させる間を入れるようにしたことで、その場の勢いが招くトラブルを減らせるようにした。

 ちなみに、記事のチェック体制については、質疑応答のタイミングで、加藤氏が「コンテンツを機会的にパトロールする仕組みにAIを使っている。それに人力でのチェックも合わせているが、月に80万件以上の記事が投稿されるので、全てを見れているわけではない。さらに通報によるチェックを組み合わせている」との旨を説明した。

 そのほか、noteが今後強化していく機能としては、アクセシビリティや、さまざまなサイトからのコンテンツのインポート・エクスポート機能が挙げられた。

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