パナソニック、水素で発電する純水素型燃料電池を10月発売--脱炭素社会へ

加納恵 (編集部)2021年04月09日 15時32分
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 パナソニックが、クリーンエネルギーとして注目される水素の活用に本腰を入れている。4月9日、ショールームであるパナソニックセンター東京で純水素型燃料電池の実証開始を発表。脱炭素社会実現に向けての取り組みを加速する。

 パナソニックセンター東京の実証実験では、700Wの発電出力を持つ純水素型燃料電池を西エントランスそばの屋外スペースに設置。毎日8時間発電し、電力を供給するほか、実証機の横に自由に利用できる電源コンセントを設け、来場者に発電体験を提供する。

純水素型燃料電池の実証稼働が開始。1日の積算発電量を表示する
純水素型燃料電池の実証稼働が開始。1日の積算発電量を表示する
純水素型燃料電池で発電した電力を電源コンセントから使用するデモンストレーション
純水素型燃料電池で発電した電力を電源コンセントから使用するデモンストレーション

 水素は、運用可能なシリンダー方式で供給され、筐体がコンパクトなため、設置スペースの制約を受けにくいこともメリットの1つ。水素の供給は、国内でシェアトップの岩谷産業が担う。

水素シリンダー貯蔵庫
水素シリンダー貯蔵庫

 岩谷産業は、1941年に水素の販売を開始。国内での水素ステーション53カ所に加え、米国でも20カ所程度まで整備を進める予定だ。「燃料電池を始め、普及が進む燃料電池自動車やバスなどの利用が増えることで、水素の利用が期待されている。製造方法は、石油や天然ガスなど化石燃料を高温で水蒸気と反応させるものと、苛性ソーダ等の製造時に、副生物として水素が発生したり、製鉄プロセスにおけるコークス製造時に、水素リッチな副生ガスが発生したりする副生水素の2つ。今後は、褐炭などの低品位炭などの未利用資源から水素を製造したり、再生可能エネルギー等による水の電気分解によって水素を製造したりする、CO2排出ゼロの仕組みも長期的な視点で取り組んでいきたい」(岩谷産業 水素本部水素ガス部長の寺岡真吾氏)と話した。

日本における水素需要
日本における水素需要
水素製造方法について
水素製造方法について

 パナソニックセンター東京では、純水素型燃料電池以外のエネルギー施策にも取り組んでおり、2020年11月には「CO2ゼロショウルーム」化を実現。「年間で1114トン排出していたCO2を、LED照明に変えたり、夏場に気温が上昇しやすいガラス張りのオフィスに遮熱フィルムを貼ったりすることで、10%の削減を実現。残り1000トンは、バイオマス発電電力へ100%切り替えることで、調達エネルギーのCO2をゼロ化し、CO2ゼロショウルームを実現した」とパナソニックセンター東京 所長の池之内章氏は現状を説明した。

パナソニックセンター東京「CO2ゼロショウルーム」化への取り組み
パナソニックセンター東京「CO2ゼロショウルーム」化への取り組み

 パナソニックでは2017年6月に策定した「パナソニック環境ビジョン2050」により、燃料電池事業を通じて、持続可能な社会を実現する旗手を目指すことを宣言。使うエネルギーを創るエネルギーが上回ることを目標に掲げている。

 その代表商品の1つとなる「エネファーム」は、都市ガスやLPガスを燃料に、自宅で発電できるシステム。発電の時に出る熱を利用することで、電気とともにお湯も作り出す。

 パナソニック アプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部水素事業推進室室長の青木仁氏は「エネファームにおける技術の延長線上には水素を直接燃料として使う純水素型燃料電池があり、2021年の発売を予定している。純水素型電池は、ガスから水素を取り出す工程が不要になるため、構造がシンプルでコスト的なメリットもあると考えている」とコメント。

水素で発電する純水素型燃料電池
水素で発電する純水素型燃料電池

 純水素型燃料電池は、5kW機の発売を10月に予定しており、複数台の連結ができるとのこと。「10台連結すれば50kW、100台連結すれば500kWの電力供給ができる。発電効率は5kWモデルで56%と業界最高。熱も同時利用できるほか、約1分で起動できるなど、停電時の発電にも対応し、レジリエンス的にも長ける」(青木氏)と特徴を話す。

 すでに、東京オリンピック、パラリンピックの跡地を活用する再開発事業「HARUMI FLAG」に、5kW機6台連結を4カ所設置することも決まっており、地区内に電気とお湯を供給する計画。共用部には足湯を設置するほか、介護施設への供給も予定しているという。4145戸あるすべての分譲街区エネファームの導入も予定している。

パナソニック純水素型燃料電池
パナソニック純水素型燃料電池
「HARUMI FLAG」
「HARUMI FLAG」

 事業は法人向けからスタートするが「将来的には家庭向けも視野に入れている」(青木氏)とのこと。すでに、引き合いがきている中国、欧州を中心に需要が伸びると見ており、「2023~2024年頃にかけて大きな事業にしたい」(青木氏)とした。

左から、パナソニックセンター東京所長の池之内章氏、パナソニック アプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部水素事業推進室室長の青木仁氏、岩谷産業 水素本部水素ガス部長の寺岡真吾氏
左から、パナソニックセンター東京所長の池之内章氏、パナソニック アプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部水素事業推進室室長の青木仁氏、岩谷産業 水素本部水素ガス部長の寺岡真吾氏

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