驚くことに、仮想現実(VR)が未来のテクノロジーのように思えていた頃から、5年の月日が経過した。とはいえ、筆者にとってVRは昔からずっと、未来のテクノロジーのように思えていた。1990年代、筆者はメタバースについて読み、ショッピングモールのゲームセンターでVRを試した。それから、2013年には、ラスベガスのホテルの部屋で顔に装着したVRヘッドセットのデモに衝撃を受け、VRの夢が突然、当初の想定よりも大幅に現実に近づいていると思った。
「Oculus Rift」が発売されたのは2016年だが、その数年前から、開発キットとして既に提供されていた。サムスンやGoogleが作ったスマートフォン向けのVRゴーグルも提供されており、1年以上にわたって、あらゆるところで目にしたものだ。VRは市場にあふれていた。ソニーは2016年秋に「PlayStation VR」(PS VR)を発売し、ValveとHTCは、Oculus Riftの登場とほぼ同じ時期に、「スタートレック」に登場するホロデッキのようなVRを「HTC Vive」で公開した。
Oculus Riftが発売されてから5年を迎えるが(Facebookは先日、経営幹部や開発者の視点から見た詳細な口述歴史を公開した)、筆者が伝えたいのは、VRはその前から存在しており、その後も何度も作り直されてきたということだ。筆者はそれまで、本格的にPCゲームで遊んだことはなかった。Oculus Riftを何本ものケーブルで大型コンピューターに接続するのは、確かにサイバーパンクのような体験だったが、望んでいた自由な形の没入感ではなかった。小型かつ一体型でスマートフォンから給電できるサムスンの「Gear VR」のような形の方が、未来にふさわしいように感じられた。
しかし、当時のスマートフォン向けVRでできることは、それほど多くなかった。ユーザーは、頭を動かして、シンプルな小型のリモコンでポイント&クリックすることしかできなかったし、完全に空間マッピングされた世界で、手を伸ばして何かをつかんだり、何かをよけたり、上体を左右に動かしたり、歩いたりしたいのであれば、大型のPCが必要だった。
「Windows」PCは、「SteamVR」や「Oculus Store」とともに、興味深い新アプリが登場する最先端の場所だった。仕事体験ゲーム「Job Simulator」といった、そこにあったゲームの多くは今でも古典的名作だ。だが、PCによって、インディー開発者、ユーザーが自分で簡単にインストールできるプログラム、カスタマイズ可能なPCなど、ある種のオープンなDIY的VRの未来ももたらされた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」