折りたたみ式画面と巻き取り式画面のいずれかを選ぶのではなく、両方を1つのデバイスに搭載すればいい。米CNETが入手した中国企業TCLのスケッチとレンダリング画像から、同社のそうした構想が明らかになった。
スケッチが示すように、TCLは画面を広げることでスマートフォンから小型タブレットに変身するデバイスを開発している模様だ。このデバイスは、折りたたみ式画面と、さまざまな折りたたみ方が可能だとされる独自技術のマルチギアヒンジ「DragonHinge」を採用するとみられる。スケッチでは、デバイスを広げた後に、内部に巻き込まれたディスプレイを引き出して伸ばすことで、さらに大型タブレットへと拡大できることが示されている。
TCLはこのデバイスのレンダリング画像を4月中旬のイベントで披露する計画だ。その際、1月のCESで予告していた「TCL 20」シリーズのスマートフォンも発表を予定している。そのスマートフォンはミッドレンジか廉価なカテゴリーに入るものとみられる。折りたたみ式/巻き取り式コンセプトデバイスの発売時期や、そもそも発売されるかどうかは不明だ。
TCLはテレビ製造大手だが、スマートフォン分野ではそれほど存在感を示していない。同分野ではAlcatelブランドのデバイスや、一時期BlackBerryブランドのスマートフォンを販売していたことで特によく知られている。現在は独自ブランドに注力し、モバイル分野でも存在感を発揮しようとしている。
TCLはこの2年ほど、折りたたみ式や巻き取り式のデバイスのスケッチや試作品を明らかにしているが、消費者に販売する製品を発表したことはない。2021年内には折りたたみ式デバイスを発売する計画だとしている。なおサムスンは2019年以降、3機種の折りたたみ式デバイスを発売している。
米CNETが確認したTCLの画像は、購買層を引き付ける技術革新を生み出そうとする同社の努力を示すものだ。人々は1台のスマートフォンを以前よりも長く使い続けるようになっており、毎年の改良も割と小規模であるため、買い替えに高い費用をかける理由がなくなりつつある。購買層は大きな画面を求めてはいるが、大きすぎると持ちづらく、実用性に欠ける。折りたたみ式の利点は、比較的コンパクトなデバイスを大きなデバイスに変えられる点だ。巻き取り式ではこの点がより顕著になるだろう。
これまでのところ、折りたたみ式は多くの購買層を引き付けてはいない。市場にあるいくつかのデバイスはほとんどのユーザーにとっては高価すぎる。サムスンは2020年12月、「より入手しやすい」折りたたみ式デバイスを2021年に市場投入すると表明しており、これは価格を下げるという意味である可能性が高い。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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