ソニーは3月23日、立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」を、日本にも本格導入すると発表した。邦楽コンテンツの配信を開始するほか、再生機器の拡充を図る。
360 Reality Audioは、360度に広がる全球に音源を配置し、それらを球状で動かせる技術。頭の中で再生されているように聴こえる従来のステレオ音源に比べ、360度に広がる、音に包まれているような体験ができる。
すでに、2020年から欧米を皮切りに展開しており、立体的な音場に映像を組み合わせたビデオコンテンツの配信や、対応楽曲制作ツール「360 Reality Audio Creative Suite(サンロクマル・リアリティオーディオ・クリエイティブスイート)」の共同開発、対応機器の拡大、360 Reality Audioに関連する独自技術の他社へのライセンス提供などが進められている。
日本においては「Amazon Music HD」「Deezer(ディーザー)」「nugs.net(ナグズネット)」から、4000曲以上の対応楽曲が配信されるほか、再生に対応したヘッドホン、スマートフォン、スピーカーなどの機器の拡充。邦楽制作を手掛けるポニーキャニオン、ワーナーミュージック、ソニー・ミュージックレーベルズと協力体制を築くなど制作環境の整備を進める。
再生対応機器は、新たに認定モデルとしてスピーカー「SRS-RA5000/RA3000」(想定税別価格:6万6000円前後/3万6000円前後)をラインアップ。いずれも発売は4月16日になる。
RA5000は、約46mmの上向きスピーカーを3つ、約46mmミッドスピーカーを3つ、約70mmのサブウーファーを1つ内蔵した6.1chスピーカーシステムを内蔵。上向きスピーカーを設けることで、天井反射を利用し、高さ方向の音場を再現する。
RA3000は、約80mmのフルレンジスピーカーにビームトゥイーター2つ、パッシブラジエーター2つ、オムニデュフューザーの組み合わせ。ビームトゥイーターが上の穴から出てくる波面と重なり合うことで、上部へと広がる音を生成する。
360 Reality Audioのほか、2chの音楽に独自をアルゴリズムで臨場感と広がりを加える「Immersive AE(Audio Enhancement)」(イマーシブ オーディオ エンハンスメント)も用意。本体には専用の切り替えボタンも設け、簡単にオン、オフができる。
いずれも周囲の環境を測定し最適な音のバランスに自動で補正する「キャリブレーション」機能を装備。視聴環境に左右されず、最適なバランスを簡単に整える。
Bluetoothを内蔵し、対応のテレビ「ブラビア」とワイヤレス接続すれば、Immersive AEを使って、広がりある音の再生が可能。スピーカー本体にはバッテリを内蔵しておらず、電源ケーブルの接続が必要になる。
ヘッドホンでは、すでに発売しているワイヤレス、有線のイヤホン、ヘッドホン計33モデルを「360 Reality Audio認定ヘッドホン」として選定。これは、ソニーが定める360 Reality Audioの音質評価をクリアしていることと、アプリ「Headphones Connect」での個人最適化に対応していることが条件となり、今後はさらに拡大していく方針だ。
個人最適化は、アプリの画面の指示に従って耳型を撮影し、耳の形と機器の状態から最適な音響特性を導き出すもの。ソニーが長年蓄積している耳型を参照しているという。
今後、オーディオテクニカやラディウスといったオーディオメーカーも、360 Reality Audioの対応プロダクトを発売する予定。制作、配信、商品とエコシステムを整え、さらなる拡大を目指す。
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