アールティは3月22日、鈴茂器工の海苔巻きロボットと連携して海苔巻きを作る人型協働ロボット「Foodly(フードリー) スズモコラボモデル」を開発したと発表した。
同社では、Foodlyが人の作業向けに作られた既存の機械製品と連携できることや、1台で製造工程を完成まで行う「セル生産方式」に対応できる事例としてコラボモデルを開発したという。
同社によると、お弁当・惣菜などを製造する中食の現場において、盛り付け工程は自動化の難易度が高く、現在その工程の大半を人手で行っている状況だという。
加えて、慢性的な人手不足への対応、労働生産性向上、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のための三密回避などの課題を抱えている。
寿司や海苔巻きの製造においては、シャリ(酢飯)を握る作業、シャリを平らに敷く作業をサポートする米飯加工ロボットが1990年頃より開発され、現在世界中の製造現場で働く人を支えている。
一方で、寿司や海苔巻き製造の全行程のロボット化、自動化についてはさらに高度で繊細な技術が求められ、多品種のネタ・具材に対応する必要があるため、実用化が難しいといわれてきた。
今回、海苔巻き製造の自動化について更なる可能性を探るため、同社が開発・生産している食品盛り付け人型協働ロボットFoodlyと、米飯加工ロボットについて高い技術や豊富なノウハウを持つ鈴茂器工が共同でFoodly スズモコラボモデルを開発。
従来のFoodly(標準構成モデル)は、から揚げ、トマト、ハンバーグなどの丸みのある固形物のピッキングに対応していたが、コラボモデルでは右手、左手部分のそれぞれに専用のハンドを装備。海苔・具材・完成した海苔巻き、3種類の食材のピッキングを1台で対応している。
また、従来では正面を向いてのピックアンドプレース(掴んで置く動作)を繰り返し行うものだったが、コラボモデルでは腰軸と連動してのピックアンドプレースを実装。複数の作業が行えるようになった。
実作業においては、鈴茂器工の海苔巻きロボット(SVR-NVG)を使用するうえで、本来では人が手作業で行う「海苔のセット」と「具材の供給」をFoodlyが担当する。
さらには、海苔巻きロボットが成形して完成した海苔巻きをFoodlyが掴み、鈴茂器工の海苔巻きロールパック機(ZNS-FRA)へと投入し、フィルム包装を実施する。
この際、Foodlyは作業に応じて具材などの対象物を頭部のカメラで画像認識しているという。
なお、今回のコラボに際し、海苔巻きロボットとロールパック機のハード・ソフトウェアに特別なカスタマイズは行っていない。
将来的には、恵方巻シーズンなどの繁忙期にロボットを導入するなど、海苔巻きの製造において新たなサポートの形を想定。
今後は、他の既存機械製品との連携や、ベルトコンベアによるライン生産が難しく、セル生産で食品を扱うことの多いスーパーなどに協働ロボットを導入するための開発を推進する。
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