学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校(N高)ならびにS高等学校(S高)は、4月から最新のVR技術とデバイスを活用した体験型の学びができる「普通科プレミアム」開始する。その一部を実体験した。
普通科プレミアムを選択した生徒に対して、VR機器「Oculus Quest2」を貸与し、日々の学習をVR学習と映像学習で行う。VRシステムは「バーチャルキャスト」を活用する。
Oculus Quest 2を被り周囲を見渡すと、教室風のVR空間が広がる。正面には黒板があり、その脇では教師がホワイトボードを使って説明。ここは映像となっていたが、VR空間に違和感なく存在していた。さらに横を見れば、同じように授業を受けている生徒も存在し、動きもある。過去に該当するVR映像を見て学習した生徒の記録されており、それが反映される形で表現されるという。
手元にはタブレット風のボードがあり、授業の説明資料となるものが表示され、ページをめくるように読むことができる。ホワイトボードでも説明書きはあるのだが、手元で見やすいようになっている。
筆者が体験した内容は、大航海時代について。授業が進むなかでは目の前に地球が現れ、それをVR空間内で手で掴み、実際に航海したルートを見ることができた。
このほか、古代生物などを目の前で見るといったこともできる。また、目の前に講師が現れ、英語で話した内容に適した返事を選択して、それにあわせたリアクションを返してくれるという対話風の英語授業といったものもあった。さらに、世界の名所を全天球(360度)写真で見ることもできた。
筆者が体験したなかで感じたことのひとつに、集中できる環境が得られるというのがある。モニターで授業の動画などを見ていたとしても、ふとしたときにほかのものが目に入ったり、誘惑するものがあると集中が途切れてしまうもの。VRデバイスを装着すると、そういったものが目に入らず、目の前のことに集中できる。非同期ながらも周囲に生徒が存在し、その反応を見られるのもひとりではないという気持ちにさせてくれる。
そして、それ以上に大きいと感じたのは、実際に手を使うという身体的な体験をともなうところにある。前述した大航海時代を航路を示す説明も動画で可能だが、VR空間内の地球儀を実際に掴み、さらに指定された場所に船を掴んで置くと、その航路を進む船の姿を見ることができる。実際の授業でも小道具を使い、場合によっては実際に触ることでより理解を深めることもあると思うが、その感覚に近い。能動的な行動があると、体験として覚えていきやすく、なにより楽しさを感じる。そしてVR空間ではCGとなるため、直感的にわかりやすい表現なども可能となる。
今回体験したところはあくまでも一端ではあったが体験として新鮮なもので、想像していたよりも好印象かつ大きな可能性を秘めてると感じている。なお角川ドワンゴ学園によると、4月から普通科プレミアムを選択する生徒は、およそ2割程度としている。
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