沖電気工業(OKI)は3月11日、同社のリアルタイムリモートモニタリングシステム「フライングビュー」を、日本航空(JAL)が羽田空港でトライアル運用中の遠隔操作ロボット「JET」に搭載し、サービス品質向上に向けた実証実験を2020年12月に実施したと発表した。その結果、空港スタッフによる遠隔操作性が飛躍的に向上することが実証されたという。
フライングビューは、4台の魚眼カメラと映像合成部、表示部で構成。カメラの映像から周囲360度の俯瞰映像を合成し、表示された映像を自由な視点でみることで、広域のシームレスなモニタリングを可能としている。また、カメラ映像の合成を、映像処理能力の高いFPGA(field-programmable gate array:製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)上で行うことにより、小型・省電力で、高画質の映像処理をリアルタイムで実現した。
OKIによると、感染症拡大防止や働き方改革の対応として、ロボットなどの利用による非接触・非対面でのサービス提供の需要が高まっているという。JALは、強みである「お客さまに寄り添ったヒューマンサービス」を安全かつ高品質に提供するため、空港スタッフが自宅などから遠隔操作し、丁寧な案内を実現するロボットとしてJETのトライアル運用を実施している。
遠隔操作ロボットのJETは現在、羽田空港第1ターミナルにおいて搭乗手続きに関する案内や問い合わせに対応している。空港スタッフがJETを通して、人やモノとの適切な距離を保ちながら、利用者の状況に応じた的確な案内を行うためには、周囲の情報をより正確に把握することが課題と認識されていた。
そこで今回の実証実験ではJETにフライングビューを搭載。人や設置物の存在、距離の直感的な把握に加え、人の表情や手荷物の識別、搭乗券・国際線を想定したパスポート記載内容の確認など、多岐にわたる検証を行い、フライングビューの有効性を評価したという。加えて、JETを含めた周囲の全体状況をひとつの画面でリアルタイムに把握可能となったことで、空港スタッフが遠隔操作する場合において、操作性が飛躍的に向上することが確認できたという。
OKIは、同実験の結果をもとに、JALへの高品質なサービスの提案を進めるとともに、空港や駅など多くの人が利用する交通事業者におけるサービス向上、省人化・非対面接客・働き方改革など、ニューノーマル時代に向けた課題解決を支援・推進していくという。
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