しかし、そうした普通の日常は、すぐには戻ってこない。例えば、JWPの2021年第1四半期の資金調達イベントはすべてバーチャルで開催される。第2四半期には、ハイブリッドのイベントを開催する予定で、来場者を会場の収容人数の50%に制限して、ソーシャルディスタンスを確保できるようにする。ただし、予測不可能だったこの1年のことを考えると、一瞬ですべてが変わってしまう可能性もある。計画されているすべてのイベントについて、主催者は、予期せぬ事態の対応策と、必要に応じて予備の日程を含めた予定を整えておかなければならない。
1年以上にわたって、他人と距離をとり、大規模な集まりを避けてきた人の中には、何千人もの人が集まる場所にすぐに戻ることをためらう人も当然いるはずだ、とBird On The WireのGodard氏は指摘する。だが、多くの観衆は、物理的なライブイベントがもたらす、「共同体」の感覚をおそらく切望するだろう。同社がパンデミックの収束後もバーチャルイベントを追求することにそれほど注力していないのは、そのためである。
実際に同社は、すべてが計画どおりに進んだ場合、8月に英国で約3000人規模のフェスティバルを開催することを計画している。Godard氏によると、2021年中に国際的なツアーが実現する可能性は低いため、このフェスティバルに出演するのは、主に英国のアーティストになるという。来場者にワクチン接種証明書の提示を求めるべきか、といった安全対策に関する議論も行われている。
「予測を立てるのは不可能なので、起こりうるあらゆることに備えておく必要がある」とGodard氏。「ショーが通常どおりに進行する場合、ソーシャルディスタンスを確保した上でショーを開催する場合、そして、ショーを全面的に中止する場合のすべてに備えておかなければならない」
iHeartMediaのSykes氏は、こうした計画はすべて未確定だが、エンターテインメント業界が進化していることは確かだ、と言う。ライブミュージックがなくなることは決してない、と同氏は指摘するが、筆者がノートPCで体験したBillie Eilishさんの銀河系コンサートのように、より多くのバーチャルなパフォーマンスが伴うようになるだろう。ライブストリームやアーティストとのオンライン交流会など、コロナ禍で活用されたテクノロジーは、拡張現実(AR)のような、よりインタラクティブな他のテクノロジーへの道を開くかもしれない。ARがミュージックビデオやコンサートのシミュレーションなどに使用される可能性もある。
「音楽業界と芸術業界全体の本質は『変化』だ」とSykes氏は語った。「私たちが必要に迫られて思いついた素晴らしいアイデアは、パンデミック収束後も長きにわたって存続し続けるだろう」(同氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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