朝倉氏:2021年もしばらくコロナの影響が続きそうですが、いつかは解決に向かっていくと思われます。そこから世界はどう変わるか。2019年以前の世界に戻るのか、戻らないのか、事業に関連するところでご意見をお聞かせください。
重松氏:われわれの事業領域でいうと、働く場所の他拠点化というトレンド変わらないと思っています。出張にしても、商談の8〜9割がオンラインで、最後に決めるところだけリアルとか、メリハリをきかせた商談スタイルになっていく。実はいま、ビジネスホテルの登録もすごく増えています。客室からベッドを取り払ってワークスペースにして貸し出し、近隣の方のワークスペースとしての需要が高まっています。
このような流れは不可逆だと思います。一方で、イベントや飲み会など人が集まるところは、徐々に戻っていくのではないでしょうか。Zoom飲み会も、いまどれだけやってますかと。やっぱりリアルが最高なんです。そこに向けて、よいスペースを提供できるよう取り組んでいきたいと思っています。
會田氏:先日見たマッキンゼーの調査データでは、約8割の経営者が「新しく導入したリモートでのデジタルセールスで生産性が上がった」「コロナの一時的対応ではなく今後はそちらにシフトしたい」と回答していました。これは不可逆的な流れである一方で、デジタルセールスへのシフトにおいては、オペレーションの変更や投資も必要です。つまり、いまこのタイミングでクラウドサービスに投資できるか否かで、今後3〜5年の経営のあり方が大きく変わってくるので、そこに対するサポートをしていきたいと思っています。
朝倉氏:あえて反論しますが、経産省のレポートでは、米国ではリモートワークによって生産性が上がったと多くの方が答えている一方で、日本では生産性が下がったという結果でした。アフターコロナで元の働き方、以前の世界に戻ることはないでしょうか。
會田氏:そのギャップが生まれるのは、何をN値にするかだと思います。経産省のレポートでは確か日経225、いわゆる大企業さんが対象です。現状維持が求められがちな大企業において、マインドセットをしっかり変えていくかどうかだと思います。デジタルシフトによって短期的なネガティブインパクトが局所的に出るかもしれませんが、全体的かつ中長期的には、SDGsやESGという文脈で、化石燃料を使った交通機関の利用をともなわない経済活動をすることなどが重要になっていくのではないでしょうか。
重松氏:あとは、“人によりけり”ということもありますよね。ハイパフォーマーは、どんどんアポが取れるようになり、移動時間がない分オンラインで隙間なく予定を入れて忙しくなり、ある一定の監視のもとでしかパフォーマンスできない人については、サボれちゃうので、二極化するということもあるかもしれません。
でも、デジタルワークが普及するよい点として、子育て中の方が通勤時間がなくなり時短しなくてよくなったり、家にいる時間が増えて家事育児を夫婦協働でやれるようになるなど、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)が向上したという話もよく聞くので、これを生かさない手はないですよね。
會田氏:朝倉さんの意見も聞いてみたいです。大企業、スタートアップ、米国、日本でいろんな企業を見てこられて、実際に経営もなさっているなかで、今後日本の働き方はどう変わると思われますか。
朝倉氏:2021年になれば、大企業も流石にもう新しい働き方に慣れているのではないかと思う一方で、また山手線がギュウギュウな時代が来るような気もしていて。「大企業の方々の何をどう変えたら、そういう未来を避けられるのか?」ということは、答えはないですけど思っていることですね。
重松氏:弊社はNTTさんとも協業させていただいていますが、かなりテレワークが進んでいる印象です。実は僕はNTT東日本出身ですが、僕がいた15年前は全くそんな感じではなく紙文化でした。でもいまは、かなり変わったなというイメージです。トップの方の意識が変わり、上の方がどんどん動いてやっていけば、日本の大企業も変われるのではないかと感じています。
朝倉氏:最後に、お二人は事業を通じて、どんな変化を促していきたいですか。
重松氏:弊社は「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンと、「スペースシェアをあたりまえに」というミッションを掲げています。これからも登録スペースを5万、10万と増やしていって、家やオフィスの近隣にあるサードプレイスを、服を着替えるような感覚で利用シーンに合わせて場所を選択できるような世の中にすることで、より多くのチャレンジを生み出していく世の中にしていきたいと思います。人口減少にともない空きスペースも増えているので、そこに人の流れ、お金の流れを作ることで、日本を元気にしていきたいと思っています。ぜひアプリをダウンロードしてください。
會田氏:私は最新のテクノロジーを使って日本の生産性を向上するということに、コミットしてやっていきたいと思います。これは起業の背景でもありますが、人口が減少し出生数も低い日本において、経済的、社会的、文化的に豊かさを実現するには、1人当たりの生産性を上げることが不可欠なのです。私はこの世から電話営業をなくしたいと思っているんですよ。
重松氏:今日のイベント、電話に関わる会社(が主催)ですけど、なくすなんて言っちゃって大丈夫ですか?(笑)
會田氏:株主でもありますが大丈夫です(笑)。というのも、テレアポって検索すると、一緒に検索されているワードは「辛い」「鬱」とかなんですね。電話営業を一度やっていただくとすぐに分かるのですが、毎回同じようなやりとりが一部発生しており、その部分は人間でなくてもできるのです。
そこをAIでしっかりサポートするような事業をやっていきたいと思っています。そうして効率性が上がると、人間だからこそできるクリエイティブな仕事に時間を使えるようになり、営業のやり方が変わっていくと思います。足元では電話営業、顧客対応、ウェブ会議などのサービスを提供していますが、これは入り口で、続けて経営判断AIなどもやっていきたいと考えています。
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