ニトリは、大阪・梅田にある複合商業施設グランフロント大阪内に2月19日にオープンした、先端技術を活用した実装実験をするためのショールーム「NITORI BUSINESS & REFORM(ニトリビジネス&リフォーム)」において、システムキッチンの3DモデルをXR(複合現実)で体験できるサービスを、NTTドコモと3月10日から8月31日にかけて提供する。予約などは不要で、空きがあれば法人に限らず一般来場者でも体験が申し込める。
このショールームは「体験価値+コーディネート+コミュニケーション」をコンセプトに、コロナ禍でニーズが高まるVR、AR、MRなどと呼ばれるXR技術を駆使した新しい体験を提供することで、法人客との接点を広げる場を目指す。XR技術を提供するドコモとXRサービスの検討に関する協業契約を2月23日締結し、今回が最初の実証実験となる。
ドコモが発売する空間コンピューティングデバイス「Magic Leap 1」を使用することで、空間に投影されたシステムキッチンの3Dモデルのカラーや素材などを自在に変えたり、コントローラーで引き出しを開け閉めしたりするなど、商品がその場にあるかのように体験できる。3Dモデルは2人同時に体験することも可能で、スタッフがタブレットを使ってサポートしなが提案するなど、実際のショールームで商品を見ているのに近い状況を再現している。
体験した印象としては、LIGHTWEARと呼ばれるヘッドセットは軽量で装着しやすく、見た目もSF映画のキャラクターのようで大きな違和感はない。操作中は実際の空間が見えるためVRのように周りにぶつからないよう注意する必要もない。
LIGHTPACKと呼ばれる小型プロセッサ、ストレージ、メモリを搭載したデバイスを一緒に使用するが、そちらもそれほど重さは感じられない。操作もコントローラーをクリックするだけなので直感的にすぐ使える。コンテンツはやや暗い印象だが、見ているうちに慣れてきて操作も比較的スムーズであった。
XRを利用するアイデアが両社で決まったのは2020年11月で、それから5カ月足らずでシステムが製作された。スペースにあわせた3Dのモデリングから操作メニューの設計・作成までをクリエイティブ会社のX Gardenが担当している。
最初のコンテンツにシステムキッチンを選んだ理由について、ニトリの法人&リフォーム事業部でゾーンチーフ兼セールスマネジャーを務める中田直樹氏は「限られたスペースを有効に使い、商品バリエーションやオプションの組み合わせが自在に体験できるというXRの特徴をわかりやすく伝えられる」点を挙げた。同じ施設内には他にも住設メーカーのショールームが複数あり、それらとの違いを出すという点でもXRの効果に期待しているという。期間中の利用者は1000名ほどを想定しているが、すでにそれ以上になるのではないかという手応えも感じているようだった。
今後のXR活用に向けた展開についても今回の実証実験をもとに検討していく予定だ。たとえば、ドコモは2月にフルHDの映像を投影できる約49gの軽量ディスプレイグラスのプロトタイプを発表しており、それらを体験する場としてニトリのショールームが活用される可能性もある。ドコモのビジネスクリエーション部XRビジネス推進担当部長の岩本和久氏も「ゲームやエンターテインメントでXRを体験できる場は他にもあるが、ビジネス視点で提供する場は初めてなので、利用者の反響をもとにいろいろな提案をしていきたい」と話した。
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