ウェザーニューズは2月22日、トヨタ自動車と、気象観測・予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究の一環として、車両データと気象データから道路の凍結箇所を把握するための実証実験を、47都道府県で開始すると発表した。
同社によると、冬型事故(積雪、凍結、吹雪などの冬期現象が事故の直接または、間接要因となったもの)におけるスリップ事故の割合は9割前後にものぼるという。
スリップ事故につながる道路の凍結は安全運転に大きく影響するため、道路管理事業者は、道路への積雪や凍結が予想される場合に除雪や凍結防止剤の散布を行い、スリップの防止措置を行っている。
しかしながら、道路の凍結箇所の把握は道路管理者の定点気象観測や巡回、ライブカメラなどによる目視が主で、凍結箇所を全線で網羅的かつ、リアルタイムで把握することは困難とされてきた。さらには、スリップの起きやすさを直接的に推定する手法もほとんど存在しないという。
そこで同実験では、車のブレーキの稼働状況や走行データなどを用いて、車輪がスリップしたとみられる箇所を検出。その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定する。
なお、路面が凍結しているかどうかは、気象データのみでは判断できない一方で、車輪のスリップの要因も複数考えられるため、スリップの検出だけではその場所が凍結しているかどうかを判断できない。車両データと気象データの双方を掛け合わせることによって初めて、車輪のスリップにつながる凍結箇所の推定が可能になる。
2020年1月19日に、都内を含む関東で雨や雪が降った事例では、車両データにより合計5026件のスリップが検出されたという。
同実験において推定した凍結箇所については、同実験の期間中に路面凍結推定マップとしてウェブサイトにリアルタイムで公開する。また、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメントなどを元に推定結果の検証および、精度向上のためのシステム改良を実施する。
同社では、簡易で網羅的に道路の凍結状況を把握することができるシステムを構築し、道路の安全管理への貢献とドライバーへの注意喚起などを通じた交通事故の防止、長期の立ち往生の回避など、安全な道路通行に寄与することを目指す。
なお両社は、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタ自動車のコネクティッドカーから得られる車両データを活用し、気象観測・予測精度の向上やドライバーの安全性向上を目指す取り組みを行っている。従来のように気象現象を直接センサーで捉えるだけでなく、車両データと気象データというビッグデータを組み合わせて分析することで、道路および、その周辺の実況把握への新たな活路が開けることが期待できるという。
同取り組みの第一弾として2019年10月に道路冠水検知の実証実験。第二弾として2019年11月にワイパーデータを用いた実証実験を行っている。
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