不動産投資をスコアリング視点から透明化する「StockFormer」--ZIRITZが資金調達

 不動産スコアリングサービス「StockFormer」を手掛けるZIRITZは、2月26日、総額5000万円の資金調達を実施したと発表した。不動産投資とインキュベーション事業を展開するトグルとPropTech特化型ベンチャーキャピタルであるデジタルベースキャピタルを引受先とする。調達した資金で、金融機関などとのマッチングを進めるための人材を強化する。

「StockFormer」ページイメージ
「StockFormer」ページイメージ

 ZIRITZは、2019年8月に設立。自ら不動産投資経験を持つ島崎(漢字は立つ崎)怜平氏が立ち上げた。前職が経営コンサルタントという島崎氏は、行動や購買履歴などを含む個人情報を、セキュリティを保ちつつ、本人に代わり企業などに提供する「情報銀行」に関わった経験を持つ。

 「不動産投資をやっている中で、なかなかいい物件に巡り会えない状況がある。それは、不動産会社とお得意のお客様だけが知る『水面下の物件』があるから。一般の人には見えないその物件を、パーソナルデータを活用することで引き出したいと思った」と、StockFormer立ち上げのきっかけは情報の非対称性の解消だ。

 設立から約3カ月で開始したStockFormerは、国内初の不動産投資スコアリングサービス。土地や不動産など、個人が保有する資産や収入を登録してスコア化することで、自分の資産レベルに合った不動産投資ができる。

StockFormerの概念図
StockFormerの概念図

 「特徴的なのは、投資家自身が収入や持っている不動産の情報を登録するところ。投資家は自らの資産レベルがわかるほか、手持ちの資産をリスト化できる。この情報をもとに、不動産会社は投資家が好みそうな物件の提案が可能。単なる金額のマッチングだけでなく、『木造の建物が好み』『リゾート地の物件が多い』など、趣味嗜好まで理解した上で物件の提案ができる」と、投資家と不動産会社をマッチングする役割を果たす。

 現在の登録会員数は約1800人。平均年収約1900万円かつ平均純資産約5400万円以上で、職業も医者、経営者、外資系金融コンサルなど、ハイクラス層が中心だ。「不動産会社の方は、投資家個人の資産状況や過去の成約データなどを見ることができ、そこからダイレクトマーケティングができる仕組み。商談した際は、投資家側が不動産会社の担当者を評価し、そのデータを蓄積することで、さらにマッチング精度を高める」と、StockFormerが持つ情報を最大限に活かす。

 一方、「過去にどんな収益不動産を購入したか情報共有ができ、投資家の方同士もつなげられる。自分と似たようなスコアの人が、どのエリアにどんな物件をいくらで購入したか、利回りはどのくらいなのかといった、投資内容を見ることができ、自分が投資をする上での判断基準の1つにできる」と高い透明性を保つ。

 注力しているのはローンの取引動向だ。「どの金融機関でどういう物件の融資が受けやすいかをランキング形式でわかるようにしている。これにより、融資を受ける際、どこの金融機関に打診しようかという判断材料になる。融資を受け付ける金融機関の提案をしてくれる不動産会社もあるが、そこに強い不動産会社ばかりではない。資金面が確定しないと物件は購入できないため、ある意味、物件とファイナンスはセット。金融機関と投資家のマッチングも進めていきたい」とする。

 「従来の不動産投資は、投資したいと思っていてもそれをうまくアピールする場所がなかった。不動産のポータルサイトなどで物件を探したり、営業担当者と少しずつ距離を縮め、アナログの情報をもらっていた。アナログの世界で非公開だった物件情報を、デジタルの力で引きずり出したい」と、島崎氏が目指すのは、あくまで情報の非対称性の解消だ。

 今後は、不動産に限らず、アートなどの世界にも同様の仕組みを導入していきたいと見据える。「コンシューマー側の人がアンフェアにならないような仕組みづくりをしていく」ことで、よりより投資物件の供給を目標にしている。

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