Teslaは仮想通貨のビットコインに多額を投資しており、将来的には同社の車をビットコインで購入できるようにする計画だ。同社はグリーン電力証書の販売によって多くの収入を得ているものの、競合する自動車メーカーが独自のゼロエミッション車を製造し、それぞれがグリーン電力証書を得られるようになれば、この収入源は今後数年で枯渇するだろう。
ビットコインで車両を購入できるようにすることは、Teslaを他の自動車メーカーと差別化する1つの方法にはなるだろう。だが、これは持続可能なビジネス戦略ではない。
Teslaの最高経営責任者(CEO)、Elon Musk氏はおそらく長期的には、もっと大胆なビジネスプランを持っているのだろう。それは、何度も離着陸できる巨大宇宙ロケットを建造するのと同じくらい野心的なプランに違いない。
Teslaは電気自動車(EV)以外に、太陽光発電システムと蓄電池の事業も展開している。蓄電池は自社のEVだけでなく、「Powerwall」という住宅用太陽光発電システムの定置型蓄電池としても採用されている。
住宅用太陽光発電システムが設置されている米国のほとんどの州では、家庭で余った電力は地域の電力会社が「ネットメータリング」制で買い取るか電気料金を按分し、グリッドに流すシステムになっている。顧客の電力消費量と太陽光発電システムの生産量のバランスによって、黒字になったり赤字になったりする。
Powerwallがあれば、余った電力は蓄えておき、エアコンなど家中の家電製品に電力を供給し、もちろんTeslaのEVを充電できる。
だが、1月に発売された「Tesla Solar Inverter」やPowerwallに組み込まれているオンプレミスなコンピューターに、仮想通貨マイニングのためのGPUを追加したとしたらどうだろうか。これらのコンピューターは既に家庭のWi-Fiネットワークにつながっており、管理用アプリもある。従って、これらをWi-Fi 6経由でアップグレードし、仮想通貨ネットワークと仮想通貨アカウント管理用のモバイルアプリに接続することは、同社の開発リソースのレベルを考慮すれば、実現可能な話だ。
そうすれば、家が究極の放置ゲームコンソールになるだろう。太陽光発電システムが生み出す余剰電力でビットコインが生成されるのだ。その方が、電力会社のネットメータリングの割引より儲かるかもしれない。ほとんどの電力会社は余剰電力の支払いに時間帯別料金(TOU)を採用しているからだ。
十分なサイズの太陽電池があり、日差しの強い地域に住んでいれば、また、Teslaが(例えばPowerwallのアドオン製品として)簡単に拡張できるモジュラー設計を思いついてくれれば、そのGPUモジュールを太陽光発電用コンピューターに追加することで、まとまった量の仮想通貨を生成できる。
それなら、政府の税制上の優遇措置を除いて5万~7万5000ドル(約530万~約790万円)掛かるとしても、Teslaの「Solar Roof」の設置は、はるかに魅力的になる。
それを実現するためにTeslaがやるべきことは、マイニングする仮想通貨を指定するためのシンプルなアプリのインターフェースと、換金のための通貨変換APIの統合だ。これで、Solar Roof所有者は素早く仮想通貨マイニングに参入できる。
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