[ブックレビュー]未来を自ら目指し創るために--「シン・ニホン」

フライヤー編集部2021年02月20日 08時00分
NewsPicksパブリッシング
内容:グロービス経営大学院とフライヤー主催による「ビジネス書グランプリ」で、2021年、過去最多の得票数のもと、総合グランプリとなった「シン・ニホン」を紹介する。

 今回は、グロービス経営大学院とフライヤー主催による「読者が選ぶビジネス書グランプリ」で、2021年、過去最多の得票数のもと、総合グランプリとなった「シン・ニホン」を紹介する。

 日本はもう終わった――失われた30年の間に幾度ともなく口にされてきたこの言葉は、多くの日本人の心に陰を落としている。無力感が蔓延するなかで、このシン・ニホンについたコピーは「この国は、もう一度立ち上がれる」だ。本書は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」の総合グランプリおよび政治・経済部門賞を受賞した。多くの読者が、このような本を待ち望んでいたのだろう。

 著者である安宅和人氏は、感情論ではなく、事実とデータに即した分析をもとに、世界とこの国の現状の苦しさを冷静に見つめる。そして、単なる悲観論を「逃げだ」と喝破し、未来を自ら目指し創るために行動を続けている。

 たとえば、日本の国家予算を分析すると、金はあるのに未来への投資である教育や科学技術の予算が削られていることがわかる。日本の科学技術の予算は圧倒的に不足しており、主要国で唯一、博士号の取得にまとまった費用がかかる国だ。米国の主要大学と大きな差を生んでいる収入は投資からの運用益であることを踏まえ、著者は本書で国家レベルの基金システムの設立を提言した。

 理想を語っても現実は変わらないと思う人もいるかもしれない。しかし、本書の刊行後の2020年12月、10兆円規模を目指す大学ファンド創設が盛り込まれた緊急経済対策が閣議決定した。まさに、「未来を創る」を体現している。 著者の描くこの国の状況は厳しい。それでも、著者の眼差しは、日本への愛に溢れている。希望を灯す1冊を手に、あなたもいっしょに未来を創る1人になってほしい。

 読者が選ぶビジネス書グランプリは、「読者こそがビジネス書を評価する人であるべきだ」という信念のもと、フライヤーとグロービス経営大学院が毎年開催しているイベント。2月の結果発表後、2021年は全国950店舗の書店にて、受賞作品のフェアが開催される。

今回ご紹介した「シン・ニホン」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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