由緒ある学会で2021年に68回目を迎える国際固体素子回路会議(ISSCC)が米国時間2月13日からオンラインで開催されている。
2020年の同会議は、米国でロックダウンが実施される直前にサンフランシスコのダウンタウンにあるサンフランシスコ・マリオット・マーキスで開催された。今回はストリーミング形式で開幕し、15日には世界最大のチップメーカーTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)やマサチューセッツ工科大学(MIT)からゲストスピーカーを迎えた。
この会議は米電気電子技術者協会(IEEE)の半導体回路協議会が主催している。IEEEは、形を変えながらも137年間続き、世界中で4万人以上の会員を抱える専門職団体だ。
毎年開かれるISSCCには、先端技術分野の講演者が登場する。2020年の基調講演はGoogleのシニアフェローであるJeff Dean氏が行い、それ以前にも、FacebookのAI科学者であるYann LeCun氏などが登壇している。
15日午前の最初の基調講演にはTSMC会長のMark Liu氏が登場した。同氏はトランジスター製造プロセスを現在最小のフィーチャーサイズである10億分の7m、つまり7ナノメートル(nm)から、5nmや3nm、さらにその先へと進めるチップ業界のブレークスルーについて語った。
このような技術革新には、立方晶窒化ホウ素などの新素材が関わってくる。その他の方向性としては、複数の小さなチップを組み合わせて1つのシステムを構成する「チップレット」がある。これは、現在使われているSoC(システム・オン・チップ)の概念をさらに進めたものだ。
Liu氏の後には、プログラマブルチップの製造を手がけるXilinxの最高経営責任者(CEO)Victor Peng氏が登壇した。同氏は膨大な数のコネクテッドデバイスからなる適応知能という概念について語った。これには、自動運転車などに使われる、交換可能な各種のコンピューティング「カーネル」を持つチップが必要になる。
基調講演や数日間にわたる論文発表(195件の採択済み論文が対象)、それにパネルディスカッションや技術セッションでは、チップ関連技術の将来トレンドに関する知見が提供される。
今回の主なテーマは、センシングと機械学習の融合(MITのDina Katabi教授が16日の基調講演で語る予定)、写真の被写界深度を撮影後に変更できるライトフィールドカメラ用の最新センサー、量子コンピューティング用の「冷凍CMOS」などだ。
17日の午前中に開催される特別セッションでは、IBM、サムスン、ソニー、ハーバード大学、コロンビア大学などによる人工知能(AI)チップ関連のプレゼンテーションが予定されている。
カンファレンスの主催者によると、オンライン開催される今回はリアルで開催された前回より多くの参加者が見込まれるという。前回は計2846名が参加したが、今回は約3000人がアクセスする見込みだ。
また、開催期間も前回の5日間より長く、22日までの10日間となっている。コンテンツは3月31日までオンラインで閲覧できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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