Facebookのコンテンツ監督委員会は米国時間1月28日、初めての審査結果を発表し、ヘイトスピーチ、暴力の扇動、その他Facebookにとって判断が難しい話題に関する5件の事案について決定を下した。そのうち4件について、Facebookのコンテンツモデレーション上の判断を覆し、削除した投稿の復元を求めた。残り1件についてはFacebookの判断を支持した。
委員会は1件の事案について、そのコンテンツに対するFacebookの規則が「不適切にあいまい」であるとして、健康関連の偽情報に関する新しい基準を設けることをFacebookに提言した。あるFacebookユーザーが10月、抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンともう1種類の薬を新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認することを、フランス政府当局が拒否したことを批判する動画とテキストを、あるグループの中で投稿した。ヒドロキシクロロキンについては、呼吸疾患で入院している成人患者に有効でないという研究結果が報告されている。Facebookは、この投稿には新型コロナウイルスに対する治療薬に関する主張が含まれており、それが「差し迫った(中略)身体的危害」につながる恐れがあることを理由に、この投稿を削除した上で、監督委員会に審査を要請した。委員会は、この投稿に差し迫った害があるとするFacebookの判断に異論を唱えた。それらの薬はフランスにおいて処方箋が必要で、投稿は処方箋なしでのそれらの薬の購入や服用を勧めるものではなかったためだ。
別の事案では、ヘイトスピーチを禁止する同社の規則に違反しているとして投稿を削除した、Facebookの判断を覆した。この事案では、ミャンマーのユーザーが、「イスラム教徒には何か心理学的におかしい点がある」というフレーズとともに、死亡した子供の写真を投稿していた。これに対して委員会は、Facebookは投稿の文脈を考慮して、このフレーズを「フランスと中国における出来事に対するイスラム教徒の反応に一貫性がないと思われることへの意見」として捉える必要があったと述べた。
委員会は、トルコ系民族であるアゼルバイジャン人を屈辱的に中傷する表現を含む、2020年11月の投稿を削除したFacebookの判断については、これを支持した。委員会の大多数が「この投稿を削除したことは、表現の自由を制限する国際的な人権基準に合致していると判断した」という。
委員会はこれとは別に、Donald Trump前大統領のアカウントを無期限停止にしたFacebookの措置についても審査することを21日に明らかにしていた。同社は、死者が出た6日の米連邦議事堂襲撃事件を受けて、Trump氏の投稿には許容できないリスクがあるとして、同氏のFacebookとInstagramのアカウントを停止している。これについてはまだ審査中で、29日からパブリックコメントを受け付ける。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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