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インスタの副業・投資詐欺に騙される大学生たち--コロナ禍のバイト減で生活苦に

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 「Instagramで副業の募集や勧誘を多く見かける。ストーリーズに投稿している友だちもいる」とある女子大学生はいう。「やっている友だちも多いし、自分もやっている。もう大学生の副業は当たり前だと思う」。彼女は、コロナ禍でバイトのシフトなどが減らされて生活が苦しくなったため、副業に手を出したようだ。

 以前、Instagramで見かける「#モバイルプランナー」投稿について解説したが、SNSで多く見かけるこのような投稿は問題ないのだろうか。

キラキラ実名顔出し投稿で騙される大学生たち

 Instagramで「#投資」は170万件投稿される人気のハッシュタグだ。「#副業で稼ぐ」は25万件、「#副業主婦」は22.9万件。「#投資女子」は11万1000件、「#投資家女子」は1万1000件、「#投資ママ」は1万2000件など、数多くの投資・副業関連投稿が投稿されている。中でも大学生や主婦層などによる投稿は非常に目立つ。

 そのような投稿は大きく分けて、文字で儲かる投資・副業内容などについて詳しく説明するタイプのものと、キラキラした見た目の良い若い女性の自撮り投稿の2つに分けられる。札束やブランド品などに囲まれた豪華な生活の写真や、仲間に囲まれた楽しそうなリア充写真のこともある。そのほとんどに共通しているのは、投資や副業などによってリッチな生活をしており、儲かる方法を教えるという投稿であることだ。

 そのような投稿には、「儲け方教えます」などとブログやLINEのIDを載せているものも多い。最終的にはLINEというプライベート空間でのやり取りに持ち込まれるのもよくあるパターンだ。

 大人世代では、このような投稿は警戒する人が多いかもしれない。しかし、SNSネイティブ世代の大学生たちは、名前や顔を出して発信している人を信用しやすい傾向にある。リッチでリア充な写真を見せられることで信用してしまう学生もいる。その結果、このような投稿を信用し、自ら連絡をとってお金を失ってしまう学生が増えているのだ。

20歳の若者のお金が狙われている

 事実、相談機関である国民生活センターでは、大学生による相談が増加傾向にある。20歳の若者の相談件数は未成年者に比べて多く、契約金額も高額になる傾向にある。全体に、未成年ではあまり見られなかった「サイドビジネス」や「マルチ取引」、「エステティックサービス」に関する相談が増えるという特徴がある。

 また、SNSで知り合った人から儲け話を持ちかけられたり、高額な契約をさせるために借金を勧められることも多い。20歳になると、クレジットカードも作れるし借金もできる。つまりそれまでのように心身を狙われるだけでなく、金銭を狙われるようになるのだ。社会経験や知識などが乏しく、一人暮らしで周囲に相談できる大人がいないケースも多く、簡単に騙されてしまうというわけだ。

 持続化給付金不正申請で大学生の大量逮捕が相次いだが、これも友人関係でSNSなども使って広がっていった。売り子や出し子などの「闇バイト」も同様にTwitterなどのSNSで多く募集されており、やはりターゲットとなるのは大学生だ。メディア経由で取材した募集を投稿していたある人物は、半グレ組織に所属しており、「大学生は使い捨て」と言い切っていた。

 そのほか、冒頭でご紹介したように、配当や紹介料が入るという触れ込みでさまざまな投資や副業に勧誘されるが、このようなマルチ商法、いわゆる「モノなしマルチ」での被害も20代や20歳未満の若者に集中している。友人やSNSで知り合った人などから、仮想通貨や海外事業などへの投資や、アフィリエイトなどの儲け話に誘われる事案が起きている。事業者の実態や儲け話の仕組みがよくわからないことが多く、事業者に解約や返金を求めても交渉が難しいケースが多いのだ。

儲けて節約したい若者世代

 15〜19歳の学生を対象としたSMBCコンシューマファイナンスの「10代の金銭感覚についての意識調査2020(9月調査)」によると、預貯金をしているのは全体の58.3%であり、「してないが、したいと思う」が29.2%など、10代のほとんどは預貯金に対して意欲的だ。

 さらに預貯金をしている人、したいと思っている人に理由を聞いたところ、「将来のため」が55.9%でトップに。続いて「万が一のときのため」(39.8%)、「買いたいものがあるため」(31.8%)となった。つまり若者たちは、将来への不安感から預貯金をしたいと考えているのだ。

 今どきの若者たちは、世の中的に経済状態が良くない中で育っており、節約意識や儲けたい意識が特に強い。このため、「儲け話」「副業」「投資」などに飛びつきやすい傾向にあるというわけだ。

 「Twitterで『高額バイト』とか『儲け話』とか検索したこともある」と、前述の女子大生はいう。大学生世代は何でもSNSで検索する傾向にあり、そのような若者たちがSNS内で投稿されている高額バイトや儲け話に興味を持ち、連絡を取るのだ。

 ご紹介したように、SNSには大学生をターゲットした投資や副業の詐欺まがいの投稿が多数投稿されている状態だ。そのようなものに手を出すとお金を失うことがほとんどなので、周囲の大人は子どもたちの様子を見守り、アドバイスしてあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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