シェアメディカルは12月22日、デジタル聴診デバイス「ネクステート」を活用したオンライン診療システム「ネクステート・シナプス」を2021年1月より提供開始すると発表した。
ネクステートは、機械式聴診器の微弱な音をデジタル化する生体音増幅型方式を採用したデジタル聴診デバイス。
オンライン診療システムのネクステート・シナプスでは、予め設定されたネクステート本体やタブレット、スマートフォンをセットで提供。さらに、LTE(4G)通信費も込みのサービスとなっているため、別途契約や回線工事などが不要で利用できる。
すでにオンライン診療システムを導入している医療機関においては、サービスを変えることなく使い慣れたシステムにアドオンする形で利用を続けられるという。
リリース時は、主に患宅に訪問する訪問看護師と診療所にいる医師をつなぐシーンでの利用を想定した可搬型と、医療施設の別棟・別室あるいは、車両などと医師の常駐する診察室とをつなぐことを想定する拠点型のサービスモデルを想定している。
同社によると、医師は視診・触診・聴診などの五感を使って診療しており、診断、処方を行う際は、対面診療が必要とする場合が多いという。
一方、感染症対策のために対面診療が行いにくい状況が急増。オンライン診療の重要性が再度評価されつつある。しかし、現在普及してきているオンライン診療ツールは、テレビ電話型であり、医師側からは身体所見をとるには不十分であるという意見がある。
同社が開発したデジタル聴診デバイスのネクステートは、聴診音を音声のまま通信することに成功。市販のヘッドフォンやスピーカーを使用したワイヤレス聴診という新しい聴診スタイルで非接触での聴診スタイルを確立した。
同社には、在宅診療時や発熱外来と医師のいる診察室をつなぎ、より遠距離から聴診を行いたいとする要望が数多く寄せられているという。しかし、多くのビデオ会議システムは聴診音をノイズとして捉えるため、通信時にカットしてしまい、聴診音を伝送することが困難であった。
そこで同社は、必要な周波数帯をバイオロジカルディープサウンド(BDS)と定義。低音域にある生体音を正確にリアルタイム伝送するためのアーキテクチャを開発した。また、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクトが提供する音声・映像伝送システムと組み合わせ、インターネットを利用した遠隔地とのリアルタイム聴診を実現した。
同社では順次、既存の電子カルテやオンライン診療システム、AIシステム向け組み込み用SDKなどの提供も検討するという。
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