ソフトバンク、双葉電子と産業用ドローンを開発--“中国製ドローン離れ”をチャンスに - (page 2)

悪天候、強風でも安定飛行できる機体

 今回発表されたプロトタイプは、双葉電子がこれまで開発してきた産業ドローンのうち、中型の機体をベースに共同開発されたものだ。機体制御には920MHz帯無線通信、データ伝送などの通信にはLTE、RTK測位にはichimillを採用。最大積載量(ペイロード)は4kgで、最大飛行時間は45分(4kg積載時は20分)だ。「天候に左右されず、いざという時に飛ばすことができて、災害時等の厳しい環境下でも役に立つ」を開発コンセプトとして、悪天候でも安定飛行が可能な全天候型機体を目指した。

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機体のスペック

 なかでも最大の強みは、耐風性能だ。双葉電子はラジコントップメーカーとして培ってきた技術やトップクラスのパイロットの高いスキルを活用し、高速応答性に優れた機体をハードウェアとソフトウェアの両面から最適にチューニングすることで、「自動航行において風速15m/sでも安定してホバリングできる」高い安定性を実現している。横山氏は「手動ではなく自動航行でこれだけ安定したホバリングができるのは、他社にはない仕様だ」と自信をのぞかせた。

 ドローンを活用した点検業務において、風によって業務遂行可否を左右されず、高解像度の画像をブレずに撮影するためには、自動航行における安定性が非常に重要になるという。ドローンに不慣れな人でも自動航行の機能を使って簡単に飛行できて初めて、ドローンは実務ツールとして機能するだろう。

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点検分野においてもユースケースは多岐に渡る

中国製ドローン離れが進む状況をチャンスに

 ソフトバンクではドローンの業務実装をサポートする法人向けドローンサービスとして、SoraSolutionを提供している。当初は自動航行と簡易レポート作成のサービスを実装。現在は、顧客からの要望を受けて機能追加のための開発を進めており、2021年2月には、点検AI、管理プラットフォーム、ichimillとの連携、mapbox.jpとの連携を実現予定だ。

 例えば、AI解析機能を拡充し、同じ構造物の経年変化による差分を自動抽出する機能や、自社が保有する鉄塔の点検などで培ったサビ検知やクラック検知の機能をサービスとして提供するという。要は、「人間の目視点検の代替」から、「解析・分析」という高付加価値を提供するツールへと移行する。

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SoraSolution新機能実装のロードマップ

 これと並行して、今後ソフトバンクと双葉電子はプロトタイプを進化させる形で産業ドローンの汎用機を共同開発し、SoraSolutionに新機体として追加を予定する。

 まず、LTEと高精度測位の技術検証を目的とした実証実験と機能改良を実施。そしてプロトタイプを用いて、利用者となるパートナー企業とのテストトライアルを実施する。2021年4月からは製品としての作り込みを進め、SoraSolutionへの新機体追加を目指す。2021年度にはサブスクリプション型のサービス提供開始を目指すとするも、明確な時期や料金形態などは未定とした。

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今後の機体共同位開発のスケジュール

 質疑応答では、中国産ドローン排除と国産ドローンへの置き換え需要拡大についても言及があった。横山氏は、「災害をはじめとして、本当に役に立てるドローンを作りたい。カメラ以外にも、さまざまな用途に応じてセンサー等を搭載できるよう、カスタマイズ性強化も図っている」と話し、国内外で中国製ドローン離れが進む状況をチャンスにしたいと意欲を見せた。

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