欧州医薬品庁(EMA)のネットワークを標的にしたサイバー攻撃があり、承認済みの新型コロナウイルスワクチンに関する文書がハッカーにアクセスされた。米製薬大手のPfizerとともに新型コロナウイルスのワクチン開発を進める独バイオテック企業のBioNTechが、現地時間12月9日付の声明で明らかにした。
EMAもサイバー攻撃があったことを認める声明を発表したものの、調査が続行中であることを理由に詳細の公表を差し控えた。なお、同庁はこのサイバー攻撃でワクチン承認に関する審査スケジュールに影響が生じることはないとしている。
BioNTechは、自社のサーバーに影響はなく、同社の臨床試験に参加した4万3500人の被験者の個人データが漏えいした形跡は見られないと説明している。
今回のサイバー攻撃を実行した組織の正体は分かっていない。ただ、過去には中国、ロシア、北朝鮮などの支援を受けたハッカーによる、新型コロナウイルスワクチンの開発企業を狙った攻撃があったことが明らかになっている。
またハッカーらは同ワクチンの供給方法に関する情報も狙っており、コールドチェーン(低温物流)関連の企業を装って、ワクチンを多くの人々に供給する流通業者をサイバー攻撃の標的にしている。
新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、英国で現地時間8日に一般市民を対象にした世界初の大規模なワクチン接種プログラムが始まり、12月末までに400万人にワクチンを投与する見込み。この取り組みで使用されているのがBioNTechとPfizerの開発したワクチンで、これは臨床試験で95%の有効性を示したとされている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス