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日本企業の勝負どころは「Whyの共感力」--DX事例から示す今後のビジネスチャンス

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 クララオンラインは12月3日、挑戦・変革する組織のためのIT・ビジネスカンファレンス「The Border 2020」をオンラインで開催した。ここでは、クララオンライン代表取締役社長の家本賢太郎氏と、ビービット 東アジア営業責任者の藤井保文氏が、さまざまなDX事例から日本企業が目指すべきビジネスチャンスを探る特別対談「Borderを超える力〜事業成長に必要な思考〜」で語られた内容を抜粋して紹介する。

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クララオンライン代表取締役社長の家本賢太郎氏(左)/ビービット 東アジア営業責任者の藤井保文氏(右)

 藤井氏は対談前に「アフターデジタル時代のビジネス機会、新たな視点」と題した基調講演に登壇した。内容を要約すると「モバイルの浸透でウェブやデジタルの世界が変化し、アフターデジタルともいえる世界が到来した」「オンラインとオフラインを融合させて、もっとも便利な方法を提供するOMO(Online Merges with Offline)がビジネスのカギを握る」「従来型ビジネス・事業もこれまでのよさを残しながら、新たな挑戦によって次世代モデルへの転換を行っていく」「環境変化が加速するなかで変化を正しく捉え、垣根を越えた新しい挑戦ができる企業こそ生き残る」というものである。

 家本氏はこの基調講演について、「多くの方は新しい取り組みを行う際、『否定』から入ることが少なくないが、そうではない」と共感の意を伝えた。藤井氏も「『このままではダメだ』といわれても現業を持つ方々は反発してしまう。理解してもらえて嬉しい」と応答した。

 クララオンラインは、藤井氏の著者「アフターデジタル」で語られた提言をビジネスに生かしてきた。同社グループ企業のちゃりカンパニーが運営する「Buychari」は、中古自転車の売買などを手がけているが、当初は店舗運営が中心だったものの、現在は3分の1がEC経由で販売している。家本氏は「自転車は乗り心地など目の前になければ分からない。色合いもすべてを再現できない。リアルが必要。だが、どのようにECと組み合わせばいいか悩んでいた。結果はECサイトが商品カタログとなり、(顧客が)店舗に訪れる導線となった」と説明し、著者に感謝の意を伝えた。

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 続けて「ECはエンターテインメント」だと家本氏は語る。商品を“探す”という購買行動自体が楽しみであり、OMOの取り組みを実践したBuychariの事例は、これまでリアル店舗だけでビジネスを展開していた企業のヒントになると述べた。

 藤井氏も「レガシーな企業が『デジタルに取り組む』と発想がデジタルオンリーになってしまう。すべてECで完結した方がよいと。そうではなくUX起点で考えればいい。自転車の選び方もユーザーによって異なるので、選択肢の幅を広げればいい。ユーザーはすでにデジタルとリアルを区別していない」と語る。

 つまるところアフターデジタル時代に企業が生き残るためには、デジタル対応は選択肢を広げる手法の1つだと認識し、UX視点に立ったビジネスを手がけなければならないと説明した。

 Buychariのデジタル化については、当時2つの課題があったと家本氏は振り返る。1つは「デジタル化の幅」。自転車のようにアナログな商品を望むユーザーの相談先など、タッチポイントの具現化だ。もう1つは「IT人材不足」だという。

 藤井氏は前者(デジタル化の幅)の課題に対して、「ユーザーは自身のニーズを言葉にできないことを前提にすべき。ビービットではユーザーの声よりも、ユーザー心理が隠されている行動に注目する。たとえばユーザーが(ウェブサイトで)立ち止まった部分にヒントが隠されている」と述べた。

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 話題が中国ビジネスなど多岐に広がった後に、家本氏が「アフターデジタル時代の日本企業にチャンスはあるか」と問うと、藤井氏は「構想力・世界観。たとえば、最近ならノーコード開発で簡単なウェブサイトやアプリは作れる。技術がテンプレートもしくはパターン化するなかで、『その技術を使ってどんな世界を作りたいか』の方が重要だ」と回答した。

 中国の事例などを引き合いに出しつつ、「日本もクールジャパンなど文化的な熟成度でいえば世界でもトップレベル。その構想力の部分を捨てる必要はない。デジタルの文脈では否定されがちな部分だが、その価値を正しく定義することが重要。ただ、世の中が変化しているので、価値の再定義が必要」と持論を述べた。

 最後に家本氏は、「(日本企業の)勝負どころはHow(どのように)ではなく、『このような未来を作りたい。なぜなら〜』のWhy(なぜ)。日本企業も(Whyを)持っているはずだが、言語化するのが得意ではない。Whyの共感力」と対談をまとめた。

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