東急不動産ホールディングスグループでリフォーム事業などを手掛ける東急 Re・デザインは、実証型オフィスに改装した「ライブオフィス用賀」をオープンした。「場所」と「時間」を選んで働けるような仕掛けを施したほか、抗菌効果のある装置、建材、塗装、非接触型ドアなど、withコロナ対策を徹底している。
東急 Re・デザインは、総合不動産管理会社の東急コミュニティーと建築請負会社の東急ホームズが行ってきたリフォーム事業を統合し、2017年10月に設立。従業員数は約600名で、ライブオフィス用賀を拠点とするスペースパートナー事業ユニットには約210名が在籍する。
ライブオフィス用賀は、ライブオフィス型ショールームと位置付け、働いている姿を見てもらいながらオフィスのあり方を提案していく場所。用賀オフィスのほか、東京都渋谷区にある「ソラスタ」もオフィス型ショールームの役割を果たしている。
東急 Re・デザインでは、2019年1月に「働き方改革プロジェクト」を社内に発足。約2年をかけて、新たなオフィスを作り上げてきた。固定席だったオフィス席をフリーアドレス型に変更したほか、PCをモバイル化したり、社内をWi-Fi化したりと、計画にそって、段階的に進めてきた。しかし、新型コロナ感染拡大防止を受け、緊急事態宣言が出され、状況は一変。全社員がテレワークになり、計画は大幅に変更された。
用賀オフィスでは緊急事態宣言が明けた6月以降もテレワークを推進。出社制限を40%以下に抑えており、現在でも出社率は30%。そのほかの人は自宅でのテレワークやサテライトオフィスでの勤務などを実施しているという。
オフィスの改修工事は8月に実施。新型コロナの感染拡大を受け、ソーシャルディスタンスの対応やウェブ会議対応スペースの強化などを盛り込んだ。ただ、感染については先行きが不透明なため、可変性を強化。組み合わせることで大型になるデスクやスタッキングチェアなどを導入し、フレキシブルなオフィスづくりを実践したという。
新オフィスとして稼働をはじめた9月からは、完全フリーアドレス制に移行。200席あった執務用デスクは、出社率の低下にあわせ115席へと減少。ペーパーレス化の推進もあり、1人あたり1.59fm(ファイルメーター)(A4サイズの用紙を1m積上げた量を1ファイルメーター)だった文書ファイルは0.66ファイルメーターへと約3分の1にまで減少した。
今回のオフィスリニューアルでは「計画期」「フリアド・モバイル普及期」「コロナ禍発生期」「withコロナ期」と4段階を踏まえて改革を推進。フリアド・モバイル普及期では、既存什器でフリーアドレスを開始し、完全フリーアドレス化する前にワンステップを設けた。これにより「自分の席が奪われる」「職場でのコミュニケーションが希薄なる」といった不満が出たり、最初に座った場所が固定化するといった課題が見えてきたという。
こうした課題を踏まえ、完全フリーアドレス制になっている現在では「プロジェクトワーク」「ソロワーク」「コワーキング」など、仕事のスタイルによって使用するスペースが選べるABW型のオフィスレイアウトを採用しているという。
東急Re・デザイン スペースパートナー事業ユニット 企画統括部クリエイティブ営業部 デザインチームマネージャーの雨宮知洋氏は「テレワークやフリーアドレス制の導入により、タスク管理をガイドしてくれる上司がすぐそばにいないので、どの時間、場所がパフォーマンスを発揮しやすいのか。どの仕事を優先的に行うべきなのかといったことを一人ひとりが自律的に考えなければならない。自律的なセルフマネジメントが求められる」とテレワークやフリーアドレスが主となる働き方のこれからの形についてコメントした。
東急Re・デザイン スペースパートナー事業ユニット取締役常務執行役員 ユニット長の瀧田裕之氏は「オフィスのリノベーションは社内コンペを実施し、それぞれの案のいいとこ取りをして作り上げた。社内では約2年前から働き方改革を実践し、縦割りだった組織に横串を刺すなど、新たな取り組みを進めてきた。元々営業職が主体で外出の多い職場だったが、現在はテレワークが進み、出社率も30%に抑えられている」とし、コロナ禍におけるオフィスの現状について話した。
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