上場を果たした飲食口コミ「Retty」代表に聞くコロナ禍の成長戦略--Go To Eatや飲食業界への思いも

日沼諭史 藤井涼 (編集部) 坂本純子 (編集部)2020年12月09日 11時00分
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 混雑した通勤時間帯の電車と街並み——かつての人通りが戻りつつあるように見える都内のオフィス街だが、その傍ら空き店舗になった飲食店を見かけることも増えてきた。外出自粛や在宅勤務を中心としたテレワークの流れ、会食を控える動きなどが続き、そのあおりを受けて廃業を余儀なくされるところも少なくない。

 こうした厳しい飲食業界にあって、10月30日に東京証券取引所マザーズに上場を果たしたのが、口コミグルメサイトを運営するRettyだ。創業からちょうど10年という節目。しかしながら、危機的な状況まっただ中での上場を、同社は大きな飛躍のきっかけにすることができるのか。Retty 代表取締役の武田和也氏に上場前後の心境と今後の戦略を聞いた。

Retty 代表取締役の武田和也氏
Retty 代表取締役の武田和也氏

コロナで「上場どころじゃないかも」--4月を底に伸張へ

――何年も前から計画していたこととは思いますが、飲食業界が厳しい中での上場となりました。そもそも上場を目指した理由と、コロナ禍にあってそれでも上場を進めるという判断をした理由を教えていただけますか。

 上場した理由はシンプルに言うと、中長期的な成長の見込みが見えてきた、というのが一番大きいです。もちろん飲食業界向けのサービスなので、3月、4月頃は本当にこれはもう上場どころじゃないかもしれない、と思いました。皆さん外出しにくいのでお店にも行けないですし、Rettyのようなお店に送客するサービスも飲食店と同様に大きく影響を受けました。

 ビジネスの観点では、飲食店向けに集客を支援するサービス、いわゆるFRM(Fun Relationship Management)がわれわれRettyのメイン事業ですが、4~6月にかけて主に閉店による解約が非常に多く発生しました。一時的には、全体の有料店舗の1割程度がいなくなってしまったんです。

 しかしRettyの利用者数は、4月を底にして6月頃から急激に伸び始めました。5月から8月までずっと伸び続けて、サービスとしては思った以上に早いペースでの回復が見えてきたんです。新規の有料店舗の獲得数も6、7月頃からは順調に伸びてきて、7月、8月はそれぞれ月間500件を超えるほどになりました。これは前年同期の平均値よりも多くなっているほどです。

 それで有料店舗数が純増するという状況になり、今後の成長の見込みもしっかりと立つようになったので、上場のタイミングも10月30日に決めて、そこに合わせて進んでいった、ということになります。

2020年10月30日、東京証券取引所マザーズに上場を果たした
2020年10月30日、東京証券取引所マザーズに上場を果たした

――上場から3週間(11月下旬にインタビューを実施)、周囲の反響はいかがですか。

 上場して何かが急激に変わるものではないんですが、飲食店の方々を含め関わった人たち皆が喜んでくれましたし、初期からRettyをずっと使ってくださっていたユーザーさんにも上場に対してポジティブに思っていただけました。

 あるユーザーさんから7、8年前に「もし上場したら目を入れて」とプレゼントしてもらったダルマがあるんですけど、それに目を入れられたのもうれしかったですね(笑)。社内ももちろんそうですけれども、周りの方々に喜んでもらえて、上場を迎えられたのは本当に良かったと思います。

 2020年4月以降に上場した企業のうち、新型コロナウイルスの影響が大きかった業界の会社としてはおそらくRettyが初です。影響があっても回復が見込めれば上場も可能だということで、飲食業界の励みになるのかもしれない、とも思っています。

――実際に飲食店の方々とやりとりしていると思いますが、コロナ禍での影響が具体的にどのようなものになっているか教えていただけますか。

 全国的に4~6月は飲食業界全体で本当に大きな影響があって苦しんだのではないかと思います。しかし、それ以降については業界全体という形ではなくなり、エリアごと、業態ごとで影響は変わってきたと言えます。

 たとえば都心部のオフィス街や繁華街。特に渋谷、新宿、六本木、銀座などは、引き続き大きな影響を受けているんですね。人が戻っていない、というのが一番の理由だと思います。一方で、それ以外の住宅街、地方、東京でも郊外のエリアにおいては、急激な回復を見せているのが実際のところです。

 自宅近くで少人数でお店に行くとか、家族で食事に行くとか、そういったことは皆さんすでにされていると思います。もともとは繁華街で外食をしていたのが、自宅近くや郊外にその対象が移っていたりするところもありますから、そういうエリアではかなり早いベースで客足が戻ってきているようです。

 業態という側面では、最も影響を受けたのが居酒屋チェーンなど、宴会や二次会、複数人での会食をメインとするようなお店です。そういう機会が作りにくくなっているので、今でも非常に厳しい状況にあると思います。それ以外の家族で食事をするようなカジュアルな場所はかなり早くから回復していたところもありますので、エリア軸と業態軸によって状況としてはかなり異なっているのが実情です。

――感染拡大が続き、忘年会シーズンを直撃しそうな情勢です。せっかく上向いてきたところにまた大きな打撃が来るのでは、という心配があります。

 これからも一定程度の影響はあるだろうと思ってはいます。それでも、足元の状況で言うと「Go To Eatキャンペーン」もあって客足は戻ってきていますし、今でも予約が取れずに入れないお店はたくさんあります。自粛する人は自粛すると思うんですけれども、以前の4~6月のような状態にはならないでしょうし、全体としては戻ってきた回復基調はそこまで変わらないんじゃないかな、と考えています。

――特に回復しているお店がどういう業態なのかなど、なんらかの傾向や特徴はありますか。

 個店を中心にして回復していますね。あとは先ほど言ったように居酒屋チェーンは厳しくて、それ以外の業態は比較的回復してきています。これははっきりとデータとしてあるわけではないのですが、家で体験しにくいような業態、たとえば焼肉やお寿司など、そういった業態の方がより回復は早いのかな、というのは感じるところです。業態を変更して、焼肉に参入するお店はこの期間ですごく増えていますね。

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